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世界最薄1mmの「ピエゾフィルムスピーカー」

text by : 編集部
photo   : shutterstock.com

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(※)この記事は2013年10月15日にastamuse「技術コラム」に掲載された内容を再構成したものです。

 

アジア最大級の先端IT・エレクトロニクス総合展である CEATEC JAPAN 2013 が、2013年10月1~5日まで幕張メッセで開催された。 600社を超える出展と延べ14万人を超える入場者で賑わったが、その中で特に注目を集めた技術の一つが、CEATEC AWARD 2013 経済産業大臣賞を受賞した京セラ株式会社の世界最薄ピエゾフィルムスピーカー「スマートソニック(R) サウンド」である。

「スマートソニック(R)サウンド」は、ファインセラミックスの圧電効果(piezoelectric effect:圧力を加えると圧力に比例した電圧が生じたり、逆に電界を与えると変形する)を応用したピエゾ素子(圧電素子)と、樹脂フィルムの組み合わせによって誕生した世界最薄1mmのフィルム状のスピーカーで、ピエゾ素子の振動を樹脂フィルムが増幅し、音を形成するという仕組みだ。

京セラは従来の電磁式スピーカー(磁石とコイルの反発により音を作る)の20~30分の1という大幅な薄型化に成功。テレビやPC、タブレット端末のほか、車載用まで幅広い分野での展開を図るという。 本技術はすでに、LG Electronics,Inc.製の55型曲面型有機ELテレビの音響デバイスとして採用されている。

本技術によれば、ピエゾ素子と樹脂フィルムの面全体が振動して音場形成するため、音の指向性が広く、フィルムの前方全域に音を行き渡せることができる。たとえば、車載スピーカーとして天井貼り付けすると、車内全体に音が広がる。筆者がCEATEC会場で実際にフィルムスピーカーと電磁式スピーカーの聴き比べを体験したところ、フィルムスピーカーでは特に高音域が澄んで聴きやすい印象を得た。本技術の特徴の一つとして、主な材料がファインセラミックと樹脂だけであるため、電磁スピーカーのように、磁力が強力で小型化できるレアアースを使う必要が無いことも優位点の一つとなっている。

映像ディスプレイが有機ELや4Kなど高精細化するに伴い、音響デバイスの更なる高品質化が求められている。さらに、次世代モバイルコンピューティングの形態がウォッチやグラスなどのウェアラブル機器にシフトすることが確実である今、高音質と同時に格段の小型軽量化を実現する本技術は、まさにトレンドにマッチしたイノベーションといえるだろう。

ピエゾフィルムスピーカー

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