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「機能性食品」市場とは?

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astavisionが企業・特許情報のビッグデータ分析により、今後成長が見込まれる市場を180の分野に分類した「180の成長市場」。近日公開予定の「機能性食品」市場コンテンツについて、その一部をプレビューする。

 

「機能性食品」について

必須栄養素には含まれない化学成分で、適量摂取することで健康増進に効果を発揮することが期待される機能性成分として、食物繊維(β-グルカン、アラビノキシラン、フコイダンなど)、ポリフェノール(カテキン、ルチン、ケルセチン、プロシアニジン、アントシアニン、イソフラボンなど)、カロテノイド(β-カロテン、リコピン、β-クリプトキサンチン、アスタキサンチン、ルテインなど)が知られている。これらを含む食品は、一般に機能性食品と呼ばれたり、健康食品と総称されることがある。現状、機能性食品や健康食品という概念自体に法的な定めはないが、近年、そのエビデンスを明確にしようという動きが活発化してきている。

「機能性食品」とは、高齢者の増加が社会問題として認知され始めた1980年代、日常の食を通して健康を考える風潮が強まる中、文部省(現文部科学省)特定研究「食品機能の系統的解析と展開(1984~1986年)」において、定義された概念。食品の3つの機能として、

を挙げ、このうち三次機能を有する食品を「機能性食品」と定義した(参考: 『食品機能 機能性食品創製の基盤』 学会出版センター、1988年)。これ以降、食品の三次機能研究がいっそう盛んになり、後の「特定保健用食品(いわゆる、トクホ)」制度につながったとされる。

1991年より発足した消費者庁許可制の特定保健用食品には、オリゴ糖や乳酸菌、食物繊維などを含む「おなかの調子を整える食品」や、杜仲葉配糖体・わかめペプチド・海苔オリゴペプチドなどを含む「血圧が高めの方の食品」、大豆イソフラボン・フラクトオリゴ糖・MBP(乳塩基性タンパク質)・ビタミンK2(メナキノン-7)などを含む「骨の健康が気になる方の食品」など、2015年6月10日現在、1164品目が特定保健用食品の表示を許可されている。

最近の動きとして、平成24年度補正予算20億円を投じての、「機能性をもつ農林水産物・食品開発プロジェクト」が注目に値する。2013-15年までの3か年計画で、NARO(国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構:農研機構)が研究を推進する。農林水産物やその加工品を対象として、健康機能の有効性を解明することや、「健康に寄与する農林水産物データベース」を構築し、個人の健康状況に合わせた機能性農林水産物・食品の栄養指導システムのモデルを構築することなどを目的とする。ここでは、「機能性農林水産物」を、農林水産物丸ごとあるいは含有される機能性成分の健康への効果が科学的に認められた農林水産物と定義している。研究課題には、

などと具体的かつ多彩。特に、データベースを基に、テーラーメード食品をめざすところがユニークである。農研機構が育成する品種等を使い、ヒト介入試験によるエビデンスを得て、それをデータベースに収めるとともに、食事レシピに活用するという。

医食同源といわれるが、医だけでなく食の世界にも、エビデンスに基づいた個別化・オーダーメイド化の波が寄せてきているようだ。

 

「機能性食品」市場のグローバル市場規模

公益財団法人日本健康・栄養食品協会は、トクホ表示許可を得た企業に対するアンケート調査で、回答のあった1111品目の販売見込み額等を基に、2014年のトクホ市場規模を6135億円と発表している。

一方、シード・プランニングは、特定保健食品・栄養機能食品・サプリメントに関する市場動向調査結果から、2017年の健康食品市場は、 2013年の約1兆8400億円から約2兆1450億円への成長予測を発表した。

これらはいずれも日本国内の事業者の動きである。

astavisionでは、2015年の機能性食品のグローバル市場規模を2兆円と見込み、今後のエビデンスの確立に伴い、海外事業者の増加、オーダーメイドレシピを利用したサービスなど波及効果の大きさにより、年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)を12%と仮定し、2025年段階での機能性食品のグローバル市場規模は、1032億米ドル(≒12.4兆円)と推計する。

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