医療・健康

3Dプリンタの医学応用

2025年グローバル市場規模予想

10億ドル

3Dプリンタの医学応用
3Dプリンタ、正しくは、積層造形(AM:Additive Manufacturing)技術は、今や家電からアートまで、分野を超えて創造活動に使われている。医学も例外ではない。X線CTやMRI、PETなどの医用診断装置から得られた医用画像の3次元デジタルデータから、材質の異なる複数の素材を用いて、人体組織の部位特異的な触感を伴ったリアルな3次元生体モデルの作製が始まっている。難度の高い手術をするに当たり、予め患者の人体組織の精巧なモデルをシミュレーションに使えば、より安全な手術計画の立案や処置を施すことが可能となる。隠れた部位の癒合や変異を事前に知ることも可能となり、医療現場に大きなイノベーションをもたらす。

3Dプリンタの医学応用の活躍の場

さまざまなシーンでの利用 特徴
患者の生体データから、これから手術しようとする患者自身の臓器や部位の精密な立体モデルを製作し、手術計画の立案や手術のシミュレーション、イメージトレーニングが可能となる。
画像診断データを立体造形することで、画像だけでは見落としがちな隠れた病巣を発見できる確率が高くなり、画像診断の精度向上に貢献する。
医師が患者に病状や治療計画・手術計画を伝える際に、本人の生体データに基づく立体モデルを用いて説明することで、より正確で分かりやすい情報提供が可能となる。
患者に埋め込む人工臓器や人工関節、人工骨のほか、心臓ペースメーカなどインプラント機器の精密な設計や.成長・加齢に伴う補修や交換時に有用。
人体の構造と機能、病態生理の可視化により、基礎医学の教育や予防医学・健康科学の啓蒙活動に活用できる。

3Dプリンタの医学応用のグローバル市場規模推定

このように医療現場に大きなイノベーションをもたらす本技術だが、市場規模も大きいと期待される。医学分野に限らず3Dプリンタ全体での市場規模は、2012年時点で約2300億円だったが、2020年には1兆円に達する(装置・材料等含む)との試算を経済産業省が2014年2月に公表している.そして、製品市場の広がりや製造効率向上による生産性の革新も加味すると、その経済波及効果は2020年に全世界で21.8兆円と見込んでいる.この中には航空機や建設、家電等すべての製品分野が含まれているが、医学・ヘルスケア関連分野の割合は1割程度と考えると、直接市場だけで1000億円(≒10億ドル)規模であり、市場のさらなる成長も十分期待できる。

参考:3Dプリンター市場、2020年に1兆円規模に
www.nikkei.com/article/DGXNASGC2100O_R20C14A2EE8000/

3Dプリンタの医学応用との連携により発展していくと予想される事業分野

手術ロボット・手術支援システム

人工臓器・インプラント機器

画像診断・生体イメージング

仮想現実(AR・VR・SR・MR)・ 3D投影

生体情報センサ・デバイス

コミュニケーションロボット・ ヒューマノイドロボット

仮想現実・3D投映

遠隔臨場制御・テレプレゼンス・ テレイグジスタンス

新素材・複合材料

この市場で活躍する可能性が高い職種です。

この市場で
活躍する職種

機械系エンジニア

化学系開発

メディカル系
商品開発

電気系エンジニア

バイオ分野研究開発

メディカル系
技術サポート

CAD/CAM/CAE

医療機器開発

MR

医療機器
セールスエンジニア

総括

2012年に米国でベストセラーとなった Chris Anderson 著の『MAKERS』をきっかけに、3Dプリンタ、正しくは、積層造形(AM:Additive Manufacturing)技術は、 個人がデスクトップで「一人モノづくり」に取り組めるという産業革命以来の価値の転換をもたらし、今や家電からアートまで、分野を超えて創造の波が広がっている.X線CTやMRI 、PETなどの医用診断装置から得られた医用画像の3次元デジタルデータから、 材質の異なる複数素材を用いて、人体組織の部位特異的な触感を伴ったリアルな3次元生体モデルを作製するというものだ。
難度の高い手術をするに当たり、予め患者の人体組織の精巧なモデルを使ったシミュレーションができれば、より安全な手術計画の立案や処置を施すことが可能となる。隠れた部位の癒合や変異を事前に知ることも可能だ。 また、患者本人の臓器をリアルに提示することで、インフォームドコンセントにも役立つと思われる。

このように、3Dプリンタによる人体モデルの作成は、極めて有意義な取り組みといえる。
本技術に用いる3Dプリンタとしては、アクリル系光硬化樹脂を使用したインクジェット紫外線硬化方式のものや、ABS樹脂を使用した熱溶解積層方式のもの、パウダーを使用した粉末固着方式のものなどがあるが、これらに限らず、複数の素材を用いて3D造形が可能なものであればよい。

一方、素材は、硬性樹脂や柔軟性樹脂などのほか、石膏粉末、プラスチック粉末、金属粉末、ワックスなど、生体組織の部位の特性に応じて、色、光透過性、高軟質性、X線透過性、超音波の感受性、導電性などのパラメータを制御できる多種多様の素材から選択する. 異なる素材を一定の比率で混合することも有効だ。さらに、3D造形した構造内部に、後から液体やゲル、粘土などの固形物を導入して、よりリアルな触感を実現することもできる。このように今後さらに応用分野が広がりそうな3Dプリンタ技術、構成する要素技術には、電気電子、精密機械、情報通信、化学、金属等々多様であり、貢献できる経験分野も多彩である。

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