モビリティ

高度運転支援・自動運転

2035年グローバル市場規模予想

6500億ドル

高度運転支援・自動運転
2015年1月、米国ラスベガスで開催された「2015 International CES (Consumer Electronics Show) 」に、優美な未来のクルマが披露された。 Mercedes-Benzの自動運転コンセプトカー F 015 Luxury in Motion である。燃料電池と走行用バッテリーのプラグインハイブリッド車で、馬車をイメージし、4隅に大きな26インチホイールをレイアウトしている。内装はまさに動くラウンジルームの様相だ。クルマの家電化、スマート化に続き、運転に煩わされないリビング空間化ともいえる。一方、トヨタ自動車はITS(高度道路交通システム)専用無線通信を利用した協調型運転支援システムを導入するなど、自動運転実用化の本格的取り組みが始まっている。また、2020年までに自動運転を複数車種に投入することを確約している日産自動車は、様々な状況に対処する人工知能の研究にも注力している。2010年にGoogleが自律走行車の開発を発表して以来、自動車各社の自動運転車開発は俄かに加速してきたものの、グーグルに先を越された感があった。しかし、2020年は自動運転車の実用化の節目とみられており、自動車メーカはもとより、ロボットや情報通信など関連各社の動きがいよいよ活発化することは疑いない。

高度運転支援・自動運転の活躍の場

  • ・ITS高度道路情報システム
  • ・スマートモビリティ
  • ・超小型モビリティ・パーソナルモビリティ
  • ・福祉車両・バリアフリー車
  • ・交通事故防止
  • ・ITSスポットとモバイル通信の協調
  • ・報知・信号情報
  • ・大規模災害時の広域輸送網
  • ・交通渋滞への挑戦:高速道路サグ部の交通円滑化

高度運転支援・自動運転のグローバル市場規模推定

自動車のグローバル市場規模は2014年、年間約8720万台、約1兆7000万米ドルであったが、2035年には1億5000万台、約3兆米ドル≒350兆円規模に達すると見られる。うち自動運転車が10%、1500万台を占めると仮定すると、約5000億米ド≒60兆円の市場規模となる。さらに、高度運転支援に関わる各種システム、車載機器、ソフトウェアを含めると、総計、約 6500億米ドル≒78兆円規模のグローバル市場になると予想される。これらの中には、自動運転に関わる各種センサ類やモバイルデバイスのアプリケーションソフトなども含まれる。

高度運転支援・自動運転との連携により発展していくと予想される事業分野

スマートモビリティ

パーソナルモビリティ

スマートシティ

スマートエネルギー

コミュニケーションロボット

IoT

人工知能

機械学習・深層学習・表現学習

個人識別・生体認証

脳波応用機器

3D・VR・AR

音声認識・音声合成・ボーカロイド

バイオセンサ・生体情報センシング

車載電子機器・車載コンピュータ

ヒューマンマシンインターフェース

テレマティクス、スマホ連携カーナビ

ビッグデータ・データマイニング・
データセンター

スーパーコンピューター・
高性能コンピューター

GPS・衛星測位システム

この市場で活躍する可能性が高い職種です。

この市場で
活躍する職種

機械系エンジニア

医療機器研究開発

電気分野研究開発

電気系エンジニア

IT・通信分野研究開発

インフラエンジニア

化学分野研究開発

機械分野研究開発

ネットワークエンジニア

IT・通信系プロジェクトマネージャー

システムエンジニア

データマイニング/データサイエンティスト

総括

交通事故のない社会の実現、それは世界共通の悲願である。
世界最先端の頭脳が集まるTED(Technology Entertainment Design)のスピーチフォーラムにおいて、米国Googleで自動運転プロジェクトを牽引していたGoogle X創設者 Sebastian Thrun は、18歳の時に一番の友人を自動車事故で亡くし、以来、交通事故から人を救うことが自分の使命となり、スタンフォード大学のAI研究所長だった2005年、米国防高等研究計画局(DARPA)が開催するロボットカーレースで初の完走を果たした時に、人を介さない完全自律走行こそが交通事故から人を開放すると感じたと話している。
TED動画:http://www.ted.com/talks/sebastian_thrun_google_s_driverless_car?language=ja
我が国においては、 「世界一を目指すためにはイノベーションが不可欠」とする安倍政権の下、内閣府が2014年11月、 「SIP-adusメディアミーティング」* を開催し、自動運転に関する国家的な取り組みが始まっていることを解説、その中で、2013年には交通事故で4373人の死亡者があったが、これを2018年をめどに2500人以下に減らすことを国家目標とすることを表明している。
* SIP:Cross-ministerial Strategic Innovation Promotion Program(戦略的イノベーション創造プログラム ) adus:Innovation of automated driving for universal service 自動運転は表面的にはITイノベーションの一つとして捉えられることが多いが、根底にあるのは交通事故から人の生命を守ることにあり、そのための技術開発、インフラ整備が脈々と続けられてきたものである。交通事故の原因の多くは、歩行者や障害物の発見の遅れや、判断・操作に関わる人為ミスによるものであり、衝突防止など危機を回避する技術や、健康状態や高齢化で低下した能力を支援していく運転支援技術などの進歩が大きく期待されている。 自動運転を構成する重要技術としては、カメラやレーダ、光ビーコン、超音波、生体情報など各種センサとGPSや通信技術による周辺環境認識技術や自己位置推定技術、自動誘導技術、自動制御技術、高性能コンピュータ・人工知能・深層学習(ディープラーニング)技術などの多岐にわたる技術が関係する。特に、運転者や同乗者の健康状態や精神状態、注意力等を見守る意味で体温・心電心拍・運動などの生体情報センシングが重要であり、また、様々な状況に応じての判断において、状態推定や予測など機械学習や人工知能の技術も必要である。その他、ヘッドアップディスプレイに仮想現実・拡張現実技術を用いて、注意喚起をしたり、操作指示をしたりする技術も実用化がすすめられている。
現状では明確な基準はないが、NHTSA (米国運輸省道路交通安全局) の基準を参考に、Level0 (自動化なし)、Level1 (特定機能の自動化)、Level2 (複合機能の自動化)、Level3 (半自動運転)、Level4 (完全自動運転) と分類されることが多い。
Level1の事例としては、富士重工業が2008 年に販売した衝突防止用自動ブレーキ「EyeSight」や、トヨタが2003 年にプリウスに搭載した縦列駐車や車庫入れ時のステアリング操作を自動化する「インテリジェントパーキングアシスト」機能などが挙げられる。Level2は、自動で車速や先行車との車間距離を一定に保つACC (AdaptiveCruise Control) 機能に、走行車線を自動検知して車線を保持したり、走行レーンを変えたりする機能を加えたものなどがある。Level3 は、不測の事態にのみ、運転者が自ら運転操作を行うもので、現在試験走行中のGoogle の自動運転車はこれに該当するとされる。 Level4は、周辺監視・運転操作を全てシステムに委ね、ナビゲーションシステムで目的地を入力すれば、自動的に目的地に到着するような完全自律走行車であり、Google や日産が目指すものがこれである。
自動運転の実用化が進めば、交通事故の削減以外にも、様々な液剤効果が期待される。国交省の試算によれば、高速道路におけるACC 搭載車の割合が3 割になると、渋滞による損失時間を半減できる可能性があるとしており、また、NEDO のエネルギーITS推進プロジェクトでは、大型トラック3 台による実証実験を行った結果、将来的に15%以上の省エネ効果が期待できるとしている。
クルマは複合技術の集大成といえるもので、とりわけ、自動運転の実現に向けてはさまざまな分野の知恵を結集する必要がある。異分野異業種の参入も今後活発化すると思われ、広範な分野からのイノベーション参加が期待される。

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