建築・土木

地下大空間・地下構造物

2035年グローバル市場規模予想

2670億ドル

地下大空間・地下構造物
周口店洞窟の北京原人、ラスコーやアルタミラの壁画洞窟に象徴されるように、人類は太古から地下空間を生活の場として利用してきた。文明が発達するにつれ、古代ローマの上下水道やトルコのカッパドキア遺跡の地下都市のように地下構造物を都市インフラとして利用するようになった。さらに近現代では、地下空間は電気・水道・ガス等のライフライン設備や都市交通網、商業施設としてさかんに開発が行われた。ニュートリノ観測を行うスーパーカミオカンデ(東京大学宇宙線研究所付属神岡宇宙素粒子研究施設)も地下1000mに作られている。そして今、防災や環境保全、エネルギー活用の観点から、大深度地下に注目が集まっている。
大深度地下とは、2001年に施行された「大深度地下の公共的使用に関する特別措置法」(大深度法)によって、地下室建設などが行われない地上から40m以深の地下、または、建築物の基礎工事が行われる支持地盤上面から10m以深の地下を指す。現在までに、神戸市大容量送水管整備と東京外かく環状道路が認可を受け、リニア中央新幹線が事業間調整に入っている。高速道路の地下化や地下発電所、エネルギー備蓄基地など、未開拓の地下空間を有効活用することで、地上の景観や自然環境、住環境を確保しつつ、経済活動を進めることが可能となるため、期待は大きい。

地下大空間・地下構造物の活躍の場

  • ・地震対策
  • ・スマートモビリティ
  • ・超小型モビリティ・パーソナルモビリティ
  • ・スマートシティ
  • ・防災・災害時通信ネットワーク
  • ・CCS(CO2の分離・回収、地下・海底貯留)
  • ・ランドスケープ・景観工学
  • ・壁面緑化・屋上緑化・ビル緑化
  • ・植物工場・施設園芸
  • ・太陽光発電・太陽電池・人工光合成
  • ・地熱発電
  • ・エナジーハーベスティング・環境発電

地下大空間・地下構造物のグローバル市場規模推定

近年の大規模地下工事の費用の例は、横浜高速鉄道みなとみらい21線全区間工事費が約3000億円、スーパーカミオカンデ総工費が約100億円、国家石油ガス備蓄基地の整備(倉敷基地・波方基地)総事業費が各約1500億円等となっている。また、東京―大阪の総事業費9兆円超といわれるリニア中央新幹線では、全ルート約500km、そのうちトンネルは約60%、東京圏・名古屋圏・大阪圏の約100km区間は大深度地下を利用する計画であり、地下建造に関わる費用は1.8兆円、工期10年とすると、年間1800億円程度となる。現時点での地下大空間に関わる総事業費を年間2000億円とし、今後10年間にわたり、地下プロジェクトが毎年1割程度増えて、その後、2割ずつ増えていくことを仮定すると、2035年には約3.2兆円規模の市場に成長する可能性がある。全世界では32兆円≒267億米ドルと見込む。
近年の大規模地下工事の費用の例は、横浜高速鉄道みなとみらい21線全区間工事費が約3000億円、スーパーカミオカンデ総工費が約100億円、国家石油ガス備蓄基地の整備(倉敷基地・波方基地)総事業費が各約1500億円等となっている。また、東京―大阪の総事業費9兆円超といわれるリニア中央新幹線では、全ルート約500km、そのうちトンネルは約60%、東京圏・名古屋圏・大阪圏の約100km区間は大深度地下を利用する計画であり、地下建造に関わる費用は1.8兆円、工期10年とすると、年間1800億円程度となる。現時点での地下大空間に関わる総事業費を年間2000億円とし、今後10年間にわたり、地下プロジェクトが毎年1割程度増えて、その後、2割ずつ増えていくことを仮定すると、2035年には約3.2兆円規模の市場に成長する可能性がある。全世界では32兆円≒2670億米ドルと見込む。

地下大空間・地下構造物との連携により発展していくと予想される事業分野

スマートモビリティ

パーソナルモビリティ

スマートシティ

スマートエネルギー

コミュニケーションロボット

IoT

3D・VR・AR

ナビ

GPS・衛星測位システム

スーパーコンピューター・
高性能コンピューター

ビッグデータ・データマイニング・
データセンター

CCS(CO2の分離・回収、
地下・海底貯留)

この市場で活躍する可能性が高い職種です。

この市場で
活躍する職種

機械系エンジニア

IT・通信系プロジェクトマネージャー

電気分野研究開発

電気系エンジニア

IT・通信分野研究開発

インフラエンジニア

建築・土木設計

機械分野研究開発

ネットワークエンジニア

CAD/CAM/CAE

システムエンジニア

設備保守

総括

最近、地下大空間の話題がメディアでも繰り返しとりあげられ、多くの人々の関心を呼び、各地の地下施設の見学会は盛況の様子である。なかでも地下空間の存在を強くアピールした施設が、「地下のパルテノン神殿」と呼ばれる首都圏外郭放水路だ。埼玉県春日部市の深度50mにある世界最大級の地下放水路で、2006年6月完成、総延長約6.3km、内径約10m。台風・大雨などによって河川の増水時、洪水を防ぐため流量容量を超えた水を貯留し、江戸川に排水する。施設の一部である調圧水槽には59本の巨大な柱が林立し、さながら地下神殿を思わせる。この放水路造成には、洪水系の水理解析、地形を再現し水理現象をシミュレート、氾濫した河川の水を落とし込む「立坑」(直径30m×深さ70m×5か所)の計画、地下50mに直径10mのトンネルを長さ6km以上築く計画などいずれもかつてない規模の取り組みとなった。実際の施工でも、70m掘削するために山留めとして、深さ140mの溝を掘り、そこに鉄筋を入れてコンクリートを流し込み、地下連続壁を建設した。トンネルの掘削には、泥水式シールド工法(粒土状の水を供給して地下水の侵入を防ぐ工法)を採用、専用のシールド機も製作したという。このように、大深度地下の大規模空間造成には未知への挑戦という側面が大きい。大深度地下構造物の強みの一つとして、耐震性がある。地下数十mに達すると、地震の最大加速度が減少し、地盤によっては半減する場合もある。これにより、構造物や貯蔵物へのダメージが低減されると期待される。地下空間を生活空間にまで広げていくことを考えると、太陽光や新鮮な空気が届かないことや閉鎖空間ゆえの圧迫感・閉塞感が負のイメージとして存在するため、光ファイバを用いた太陽光伝送や、自然風を想起させる空調のあり方、虫の音や小川のせせらぎのような環境音など、また、仮想現実・拡張現実技術やプロジェクションマッピングなどを用いた空間演出なども検討余地がある。また、地下植物工場や水生藻類工場なども事業として可能性がある。今後の大深度地下利用のテーマとして、重要性を増すと考えられるのが、環境保全やエネルギー活用である。米国ボストンのBigDigのように、高速道路を地下に埋設し、地上を緑化することで、環境と景観の保全と、交通渋滞の緩和を両立させたケースも存在する。エネルギー施策では、串木野国家石油備蓄基地や菊間国家石油備蓄基地、世界最大級の有効落差を持つ東京電力葛野川(揚水式)発電所などがいずれも稼働中の地下施設として知られる。さらに、フィンランドの高レベル核廃棄物の最終処分地「オンカロ」(Onkalo)が参考事例として挙げられる。フィンランドのオルキルオト島に建造中の現在、世界唯一の高レベル放射性廃棄物の最終処分場である。フィンランド語で「深い穴」を意味する“Onkalo”は、地下およそ520メートルの深さまでトンネルを掘り、そこから横穴を広げ放射性廃棄物を貯蔵する計画。2020年までに運用を開始し、その後2120年頃までの100年間にわたり埋設処分に利用される予定となっており、100年後に施設が満杯になった後は、道を埋めて完全に封鎖する。使用済み核燃料に含まれるプルトニウムの半減期は2万4000年。生物にとって安全なレベルまで放射能が下がるまでおよそ10万年にわたって地下に封鎖され続けるという。
(参考:http://www.jsce.or.jp/committee/rm/News/news8/Onkalo.pdf

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