情報通信

IoT/M2M (Internet of Things/Machine to Machine)

2025年グローバル市場規模予想

16兆ドル

IoT/M2M (Internet of Things/Machine to Machine)
「Software-Defined Car(ソフトウェアで定義されるクルマ)」。そう呼ばれる米国Tesla Motorsの電気自動車は、ソフトウェアアップデートにより、様々な機能の追加に対応できる、走るスマートデバイスだ。Tesla車は3Gや無線LANに接続されており、自動でソフトウェアのアップデートが行える。2015年夏にリリース予定の「Version 7.0」で、自動運転機能「Autopilot」や、自動で車線を変更する「Lane Changing」、自動駐車機能「Autopilot Parking」などが機能追加される。
btTeslaの車体に装備された前後2台のカメラやレーダ、12基の360度超音波センサなどからの情報とリアルタイムの交通情報に基づき、これらの自動機能が実行される。
今、時代は、 M2M(Machine to Machine:機械と機械が繋がる)から、 IoT(Internet of Thing:機械や自動車、携帯電話、冷蔵庫、掃除ロボットなどモノとモノが繋がる)を経て、IoE(Internet of Everything:モノ、ヒト、プロセス、ビッグデータなどあらゆるモノゴトが繋がり合う)、あるいは、CPS(Cyber Physical System:電脳空間と実空間の融合)という大きな技術潮流を目の当たりにしている。
工場においては、工作機械や産業用ロボットが互いに繋がり、統制のとれた制御下にあると同時に、システム管理会社のコンピュータと繋がり、昼夜問わず、故障診断や遠隔メンテナンスのサービスを受けることができる。その管理会社では、世界中のクライアントの機器類の監視データを解析して、どのような状況でどのような不具合が起きるか、またその時の対処方法はどうあるべきか、などの予測法や対処法などを様々にシミュレートしながら、ソリューション開発を行える。こうした遠隔サービスは、データダウンロードによる修理、プログラム追加などの機能が強化されることで、ますます利用が広がると期待される。家庭用のコミュニケーションロボットや家事ロボットなどには当初からそうした遠隔サポート機能が搭載されるようになるだろう。

工場で生産される製品や農場で生産される野菜や花き類、食品にも、生産工程からチップが埋め込まれ、最終チェックまでモニタリングし、完成後は在庫管理に、出荷後はトレーサビリティに寄与し、エンドユーザの手に渡ってからは故障診断や遠隔サポート、修理などカスタマーサービスやマーケティングに活用できる。

個人の家庭でも、テレビやビデオだけでなく、キッチンやお風呂、加湿器など様々な家電製品がスマートフォンを介して繋がっている。コンタクトレンズや歯ブラシさえもセンサや通信モジュールを内蔵する時代だ。自動車もスマートフォンで生体認証を行いロック解除したり、ITS(高度道路交通システム)における、車車間、路車間、人クルマ間の通信により、安全運転や自動運転を実現する技術開発が目白押しである。ベッドサイドに居ながら健康状態の推移をチェックしたり、ウェアラブル生体センサのデータを遠隔地にいる医師や家族に送り、必要な処置や支援を受けることもできる。
バスケットボールも、9つのセンサとバッテリ、通信モジュールを内蔵し、プレーヤのシュートのフォームを数値化、ゴール成功率を可視化し、スマートフォンに表示できるように進化を遂げている(InfoMotion)。

こうした状況をさらに加速すると考えられるのが、MVNO(仮想移動体通信事業者)やFVNO(仮想固定通信事業者)の台頭である。家電メーカやゲームメーカなどが続々と独自の通信事業に参入し、自社製品をネットに繋いでいく。もはや、ヒトやモノ、データやプロセスだけでなく、ゲームやスポーツ、仮想空間のコンテンツも垣根なく繋がっていく時代が到来した。

IoT/M2M (Internet of Things/Machine to Machine)の活躍の場

  • ・ビッグデータ・データマイニング・
    データセンター
  • ・MEMS・マイクロマシン・組込システム
  • ・ユビキタス機器(ウェアラブルデバイス)
  • ・予防医療・見守り
  • ・先進医療機器
  • ・遠隔医療
  • ・個人識別・生体認証
  • ・スマートモビリティ・ITS高度道路情報システム
  • ・音声認識・音声合成・ボーカロイド
  • ・インテリジェントスポーツ・スマートスポーツ
  • ・地域包括ケア
  • ・遠隔臨場制御・テレプレゼンス・
    テレイグジスタンス
  • ・ファクトリーオートメーション・工作機械・
    産業ロボット
  • ・市場予測・未来予測

IoT/M2M (Internet of Things/Machine to Machine)のグローバル市場規模推定

IDC Japanの2015年2月5日の発表によると、2014年の日本国内IoT市場におけるIoTデバイスの普及台数は5億5700万台、売上規模は9兆3645億円と推計、2019年にはIoTデバイスの普及台数は9億5600万台、売上規模は16兆4221億円に達すると予測している。2014年-2019年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)はそれぞれ11.4%および11.9%でとしている。これを参考値として、2019年から2025年までCAGR11%で推移すると仮定すれば、2025年の国内市場規模は、約30兆7161億円(≒2559億ドル)となる。一方、Ciscoの2014年のホワイトペーパでは、2024年までの10年間に IoE の経済価値は全世界で 14.4兆ドル、日本国内は76.1兆円と予想している。astavisionでは、モバイルコミュニケーションに加え、音楽やアート活動を含むヒトの寄与を重視し、2025年段階の日本国内市場を約80兆円、グローバル市場規模を約16兆ドル(≒1920兆円)と予想する。

IoT/M2M (Internet of Things/Machine to Machine)との連携により発展していくと予想される事業分野

MEMS・マイクロマシン・組込システム

生体情報デバイス・バイオセンサ

ユビキタス機器(ウェアラブルデバイス)

BAN(BodyAreaNetwork)
・人体通信

予防医療・見守り

無線通信インフラ

遠隔医療

WiFi・PAN・BAN

個人識別・生体認証

近距離無線通信(NFC)

スマートモビリティ・
ITS高度道路情報システム

ストレージシステム

音声認識・音声合成・ボーカロイド

ビッグデータ・データマイニング・
データセンター

高性能コンピュータ

インテリジェントスポーツ・
スマートスポーツ

この市場で活躍する可能性が高い職種です。

この市場で
活躍する職種

機械系エンジニア

サーバエンジニア

組み込み系エンジニア

ネットワークエンジニア

電気系エンジニア

IT・通信分野研究開発

インフラエンジニア

電気分野研究開発

機械分野研究開発

組み込み分野研究開発

システムエンジニア

データマイニング/データサイエンティスト

総括

Cisco Systems社は、2013年6月に発表された「IoE ホワイトペーパ」において、「2000年には約2億個にすぎなかったインターネットに接続可能なモノが、モバイルコンピューティングなどにより、2013年現在、100億個近くまで増加。2020年までには500億個までに上り、インターネットは、人、プロセス、データ、モノを組み合わせたIoE時代へと大きく成長する」と予想する一方、「現実世界に存在するモノの99。4%はまだインターネットに接続されていない」と推定している。
また、「Cisco Visual Networking Index」では、「ウェアラブルデバイスは、IoEの普及を促す重要な要因であり、高い成長性を秘めているが、組み込みのセルラー接続機能の大規模な可用性には、一部のアプリケーションの克服を阻む障壁がある」と述べている。 最大の課題は、セキュリティにある。

IoT/IoEに繋がるとなると、今までつながらなかった異分野や異業種、異種データなどが交錯する空間にデビューすることとなる。セキュリティレベルの極めて高いデバイスも、ネットワーク上であらゆるヒトやモノと繋がれば、その中で最も低いセキュリティレベルに、全体のセキュリティレベルが押し下げられてしまうというリスクがある。特に、CPUやメモリなどリソースの少ないデバイスがセキュリティホールに陥る可能性が指摘されている。

セキュリティレベルに応じて情報の匿名化や暗号化、秘密鍵や生体認証によるアクセス制限などの施策を講じる必要があるが、ウィルスやハッキングなどのサーバー攻撃の脅威は収まらない。
そのため、電子カルテのような匿名化しない医療情報や法人の財務情報などは、グループ内イントラネットや専用回線など限定的なネットワークに留まる傾向が強いと思われる。
また、 IoT/IoEは、通信プロトコルやデータ形式の違い等により、既存の会計サービスやCRM、SCMなどのビジネスソリューションとの連携は難しいという指摘もある。

さらに、 IoT/IoEでは接続されるデバイス等の数が飛躍的に増えるため、リアルタイムのデータ流量が一時的にオーバーフローする可能性もある。この負荷を低減するために、クラウドで一括管理されていたデータ処理の一部を、ゲートウェイ(エッジ)や端末レベルでの分散処理したり、高性能コンピュータによる並列処理をするなどの対策が必要になる場合がある。エッジ分散処理の例として、Cisco社のフォグコンピューティング(FogComputing)が知られている。クラウド(雲)と端末の間に、仮想的なフォグ(霧)領域を設け、 CiscoのネットワークOS 「Cisco IOS」とLinuxを統合することで、アプリケーションの実行環境を提供するものだ。
NTTも、ユーザの近傍に多数のエッジサーバを置き、処理を分散させる「エッジコンピューティング」を提唱している。一方、端末分散処理の例としては、 Oracle社のOracle Event Processing for Oracle Java Embeddedのように、端末側にCEP(Complex Event Processing:複合イベント処理)を組み込み、メモリ上でできる範囲で、データの一次処理をして、クラウドに送るというもの。いずれも、クラウドに送る前に、できる範囲でデータの分析や加工をすることで、サーバの負荷を軽減することができる。
このように、 IoT/IoEの導入には、一定の高さのハードルがあるのは事実だ。

しかしながら、時代は確実に、 IoT/IoEを推進していくだろう。
まず、すでにこの世界にはビッグデータが蓄積され続けており、そのマネタイズには、いち早く、 IoT/IoEにより、ビッグデータを収集し、解析していくことが必須である。そこにどのようなエコシステムが構築され、どのようなストーリーが描き出せるかは、ビッグデータを自ら収集しなければ始まらない。

とりわけ、少子高齢化が進み、資源・エネルギー・食料も潤沢といえない我が国とって、ビッグデータから生み出される異分野・異業種横断型の事業創出は、戦略的にも重要である。
スポーツの分野でのセンサとデータ解析の利用は、シューズの中に小型センサを挿入した「Nike+iPod」や、「adidas miCoach」に見られる。「miCoach SMART BALL」や、InfoMotionの「94Fifty Sensor」などのように、頭脳を持ったサッカーボールやバスケットボールも現れた。
音楽のビッグデータ化も始まっている。日本の二人のアーティスト兼プログラマ、真鍋大度氏と徳井直生氏が始めた「2045」というクラブイベントでは来場者の持つ音楽データ(iPodプレイリスト)加速度センサを用いての盛り上がり度、来場者の位置情報などのデータを集計し、人工知能がその時々のその場に最適の選曲をして、DJがその曲を流すというものだが、これは概ね2045年頃に到来するとされるSingularity(特異点)、すなわち、人工知能などのコンピュータテクノロジーが人間の能力を超える時代を前に、DJや音楽シーンはどう変われるかを実験的に探る試み。

既に萌芽はできているこうした未来の人間像を探る動きは、 IoT/IoEの中でさらに増えていくだろう。 IoT/IoEは、ビッグデータと密接に関わり、異分野横断的な新たな情報のエコシステムを生み出す。必然的に、高性能コンピュータ(スーパーコンピュータやグリッドコンピューティングなど)と人工知能や知能ロボットの発達と一体で進んでいくものと思われる。

2009年にすでに1兆個のセンサを全地球上に配置するプロジェクトを提案していた米国Hewlett-Packard社は、センサネットワークが集めるビッグデータにより構築される情報のエコシステムを“CeNSE:Central Nervous System for the Earth(地球の中枢神経)”と呼んだ。知恵やビジネスを生み出す宝の山となりうるビッグデータだが、ビッグデータをコントロールするのがヒトなのか、機械(人工知能)なのか。ヒトは、IoEのノードの一つにすぎなくなってしまうのか。
答えの出る日はそう遠くない。

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