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高性能コンピュータ

2025年グローバル市場規模予想

500億ドル

高性能コンピュータ
2015年4月、理化学研究所は新規のスーパーコンピュータシステム「HOKUSAI GreatWave」の稼働を始めた。 スーパーコンピュータに代表される高性能コンピュータ(HPC:High Performance Computer)。その活躍分野は、気候変動や自然災害のシミュレーション、生体物質の構造解析や新薬の分子設計、巨大建築物の強度計算、医療ビッグデータからのデータマイニング、SETI(地球外文明の探索)など実にさまざま。2011年6月には理研の「京」が10.5Peta(10peta=京)Flopsの計算速度で世界最速となったが、2013年6月に中国の天河2号(33.9 PFlops)に首位を奪われた。日本は京の100倍の速度であるExa(10^18)Flops級の次世代スパコンの開発で巻き返しを狙う。その一方、計算速度はGiga(10^9)Flops-Tera(10^12)Flopsながら、PCの数倍から数十倍程度のサイズと価格のミニスパコンやパーソナルスパコンが実用化しつつある。都市や居住空間のスマート化、インテリジェント化が進む今、高性能コンピュータはより身近なものへと進化するだろう。

高性能コンピュータの活躍の場

  • ・ビッグデータ・データマイニング・
    データセンター
  • ・統計解析・多変量解析・各種シミュレーション
  • ・市場予測・未来予測
  • ・気候変動・地球環境変異
  • ・気象予測・潮流潮位予測
  • ・地震・自然災害
  • ・資源探査・エネルギー開発
  • ・宇宙開発・航空宇宙工学
  • ・創薬・分子構造設計
  • ・医療情報スーパーハイウェイ、データ医療
  • ・スマートシティ
  • ・スマートモビリティ・ITS高度道路情報システム
  • ・ITS高度道路情報システム
  • ・建築デザイン・工業デザイン

高性能コンピュータのグローバル市場規模推定

高性能コンピュータ(HPC)の日本国内での市場規模は、2014年時点で500億円程度、全世界での市場規模は、 2014年時点で130億ドル(≒1兆5600億円)程度と見られる。京に代表される巨大な超並列システムは熾烈な計算速度競争にさらされる一方、政府機関や特定の研究機関等以外の購入は現状では考えにくい。その一方、マルチGPUやマルチコアCPUにより計算速度を上げたミニスパコンやパーソナルスパコンの出現により、3000-1000万円以下の価格帯の市場が大きく進展する可能性が考えられる。企業の研究所や事業本部単位、大学の学部・研究科単位、大病院などへの導入が増えることで、さらに小型低価格化が進み、500-300万円以下になれば急速に普及する余地がある。その状況を鑑み、2025年時点で、グローバル市場として、500億米ドル(≒6兆円)規模と推定する。

高性能コンピュータとの連携により発展していくと予想される事業分野

スマートモビリティ

パーソナルモビリティ

スマートシティ

スマートエネルギー

スマートスポーツ

スマートアグリ

深海底探査

宇宙開発

資源探査

実験ロボット

先進医療

人工知能

3D・VR・AR

3Dプリンタ医学応用

生体イメージング

この市場で活躍する可能性が高い職種です。

この市場で
活躍する職種

機械系エンジニア

サーバエンジニア

電気分野研究開発

電気系エンジニア

IT・通信分野研究開発

インフラエンジニア

化学分野研究開発

機械分野研究開発

ネットワークエンジニア

IT・通信系プロジェクトマネージャー

システムエンジニア

データマイニング/データサイエンティスト

総括

高性能コンピュータ(HPC:High Performance Computer)は、いわゆるスーパーコンピュータだけでなく、高性能計算を実現するシステムの総称であり、1基のマシンの場合もあれば、多数の大型汎用コンピュータや高性能サーバ、ワークステーション同士をネットワークでつないだコンピュータ・クラスタや、膨大な数の個人のPCをクラウドでつないだグリッド・コンピューティングの場合もある。いずれも高速の計算処理を行うために、1つのタスクを複数のプロセッサに分散して行わせる並列処理が主流となる。並列計算機の中でもCPU数が数千~数万以上に及ぶものを超並列マシン(スカラー型)とよぶ。初期のスパコンはベクトル型だったが、現在の高性能コンピューティングのトレンドは超並列スカラー計算機である。

より高性能の実現を求めて日・米・欧・中国などが熾烈な開発競争を続けている。 2011年6月には理研の「京」が10.5PFlopsの計算速度で世界最速となったが、2013年6月に中国の天河2号(Milky Way-2)に首位を奪われた。天河2号は2014年11月現在33.9 Pflopsだが、日本も京の100倍の速度を持つExa(100京)Flops級の次世代スパコンで巻き返しを狙う。1日数百万円といわれる消費電力の削減や小型化による用途の更なる多様化が課題となる。こうした巨大スパコンは政府機関や限られた研究機関しか購入できず、市場の広がりはあまり期待できない。その一方、高性能サーバやメインフレームによるコンピュータ・クラスタや、会社や家庭のPCの余剰メモリを利用したクラウド型のグリッド・コンピューティングは、巨大システムを構築することなく、スパコン級の高性能計算が実現するため、導入する民間企業や研究機関も多い。さらに、近年、PCやワークステーションの画像処理を行うプロセッサGPU(Graphics Processing Unit)の持つ多数の汎用プロセッサエレメントのクラスタを、多数接続することで、手軽に超並列システムを組み立てる動き(GPGPU)が出ている。 GPGPUは、汎用プロセッサに比べ、価格性能比が非常に高い上に消費電力が小さいという利点を持つ。2014年にNvidia が世界初の組み込みスーパーコンピュータを謳い発売した「Jetson TK1」開発キットなどがそれに当る。2008年11月には、Cray社がNVIDIA Tesla C1060 GPUを用いたパーソナル・スーパーコンピュータ CX1を発表している。

日本では、NECが2017年にも1メートル四方の小型スパコン「Aurora」(仮)を500万円で発売するという。 同社が2013年11月に発売した「SX-ACE」の後継機となるもので、価格を現行機の10分の1に落としつつ、計算速度170TeraFlopsは現行機の10倍強、2009年に稼働した海洋研究開発機構の地球シミュレータ(2代目、131TeraFlops)を超える性能を、1ラックで実現することをめざす。性能当たりの消費電力は10分の1以下となり、HPCの未来予想図に大きな変革をもたらすものとして期待される。

そして、このように小型低価格化したHPCで何をするか…。性能競争の時代から、成果の協創の時代に入るのだと信じたい。

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