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ゴミ箱をメディア化し、価値に変える。世界初の溶解ボックス広告プラットフォーム「e-Pod Digital」——TAAS株式会社 大越隆行

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オフィス内にある機密文書などを入れる溶解ボックスに目をつけ、それをメディア化させるという新しいアプローチで、溶解処理コストを無料で提供する有望スタートアップ企業「TAAS株式会社」。

TAAS株式会社が展開する事業「e-Pod」は、機密文書の処理をしている企業、広告を出稿したい広告主、どちらにとってもメリットを享受できる広告プラットフォーム」と語る代表の大越隆行氏。「e-Pod」で目指す取組みや世界観について、お話を伺いました。


オフィスの溶解ボックスをメディア化する新サービス「e-Pod Digital」※国際特許出願中


TAAS株式会社では、原型となった「e-Pod for Business」を更に進化・大幅アップデートさせ、広告モデルで運用する「e-Pod digital」を開発・展開しています。機密文書などの、オフィス内に入れる溶解ボックスにデジタルサイネージを取り付け、広告の動画を配信することで、処理費用はすべて広告費で賄うことが可能に。

それにより、ユーザー企業は利用料(処理費用・配送料・初期費用・月額費用など)を全て無料で利用できるという、業界初の仕組みです。

「シュレッダーの代わりに、オフィスにデジタルサイネージ付きの『e-Pod digital』の溶解ボックスを置いていただきます。つまり、広告を配信するメディア化したゴミ箱ですね。これだけで企業は従来かかっていた、機密文書の処理コストをゼロにできます。また、リサイクルされた材料を一部使用した自社のノベルティグッズも届きます。広告は流れますが、これまで機密文書の溶解処理コストを払っていたものがタダになるというのは、企業サイドからしたら非常にインパクトが大きいと思います」

機密文書を扱う上で、処理コストは、企業としても無駄で抑えたいコストです。売上に貢献するコストではありません。そんな無駄なコストを抑えたいという企業にとっては、大きな課題解決の1つになるのが本サービス。利用料が無料のため、利用しない理由がないと言っても過言ではないかもしれません。

一方で、広告主側にもメリットはあるそうです。

「B2Bの広告を出せるメディア、しかもオフィス内の働いてるビジネスパーソンにダイレクトに訴求できるメディアって現状ないんですよね。なので、企業で働いている人に向けてピンポイントで広告出稿できるメディアとしても、今後更に需要が拡大していくと考えています」

「e-Pod digital」は最初から順風満帆だったわけではなく、60社ものベンチャーキャピタルに出資の要請をして断られたこともあったそうです。そこで、募集開始から調達までのスピード感を重視して利用したのがクラウドファンディング「FOUNDINNO」。2018年7月に同サイトで資金調達の募集を開始したところ、わずか3時間で日本のクラウドファンディング史上、最高額となる8,290万円を達成。いかに「e-Pod digital」のアイデアが市場に求められていたかがわかります。

「開始5分足らずで調達額が5,000万円を超え、『これはいける』と確信しました。結果としては、3時間で上限金額に到達。募集を開始するまでは不安の方が大きかったですね。しかも今までのクラウドファンディングで、最高額のチャレンジだったので尚更です。500名以上もの方から出資いただけたのは、旧態依然とした業態を『溶解処理 x 広告』という新たなアプローチで、エコな取り組みをしつつ、企業でかかる処理コストをゼロにできる、という三方良しの考えに共感くださったのだと考えています」

現在は上場企業やベンチャーなど、多数の申し込みがあり、2019年の年明けから「e-Pod Digital」の設置を順次開始。広告配信も2019年3月末ぐらいからスタートさせていくという。また事業提携に関する問い合わせも多く、既に複数のアライアンスを組み予定もあるとのこと。

本気で世の中を変えていくという強い決意を持った創業者、また今後の展開1つ1つが注目される大注目のスタートアップ企業です。


日常の課題にサービスのヒントがある


写真:大越隆行氏 場所:TAAS本社オフィス

大越氏はどのようにこのサービスのアイデアを思いついたのでしょうか。「e-Pod digital」には実は原型となるサービスがあります。企業の機密文書を再利用し、ノベルティグッズにするという「e-Pod for Business」。そのヒントはごく身近なところにあったそうです。

「起業する前にランサーズという会社にいたのですが、当時海外への出張が定期的にあったんです。一定期間、家を不在にするので、帰宅するといつも郵便ポストにチラシがパンパンに詰まっていました。それを見て、すごくもったいないなと思ったんです。毎回ゴミ箱に捨てるわけですから。そのときに、この捨てたチラシが日常で使えるアイテムになって、自分のところへ戻ってきたら愛着が持てるんじゃ無いかなと思ったんです。その上で、そうした取組みそのものが価値に変わってくれたりしたら良いなと考え、そこから『e-Pod』の着想につながっていきました」

捨てたチラシからグッズを作って還元するというアイデアを思いついたものの、「個人レベルの取引では量も少なく、わざわざ費用を払って処分する人もいないだろう」と考えた大越氏は、企業が機密文書を処理する際に、専門業者へ委託してお金を払って処理している現状に目をつけ、よりインパクトが大きい企業向け専門のサービスに特化し、展開することに。

「企業には膨大な契約書や提案資料、個人情報が絡む書類など、多岐にわたる機密文書が存在します。また、その処分をするために有料で費用を払って専門業者へ委託して処理をしている実情があります。ならば、企業の機密文書の処理サービスとして打ち出そうと思いました。日常で感じた課題をどうにか解決したいと考え、自問自答を繰り返した結果、今のビジネスに辿り着きました。『ありそうでなかったサービス』とよく言われますが、ヒントって意外と日常の中に転がっていると思います」


世界中から「もったいない」をなくしたい


注目を集めるスタートアップ企業の多くは人工知能やフィンテック、ブロックチェーンといった最先端の領域を扱うケースが多いですが、大越氏は「そういう領域にはあまり興味がない」と語ります。

「私自身は、昔からある古い産業を最新のテクノロジーや仕組みを駆使して、利用者や関係業者の利便性を高くすることに、産業としての可能性を感じています。あくまで事業としての永続性があるか。そこを非常に重視しています。また、社会課題を解決する方法を考えることこそ、インフラと永続性が上がり、多くの人たちから支持されるビジネスにつながると考えています。
私がアマゾンという会社に在籍していた際に、創業者のジェフ・ベゾスという人間の経営哲学に触れ、学んだことが、ビジネスを思考する上で最も大きなターニングポイントとなりました。

私たちは、本気で世の中を変えていくチャレンジをしています。だからこそ、『流行っている事業だからビジネスとしてやる』という考えは全くありませんし、そういう発想はしないように心がけています。どうすればもっと利用者にとってのインフラになれるのか。それを探求し続けることの方が重要だと考えています。事業を展開する上で、ポリシーとして掲げているのは、『世界中からもったいないをなくしたい』ということ。今後新しいサービスを展開することになったとしても、その軸をベースに、事業づくりに取り組んでいきたいと思っています」

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