
機械系エンジニア
生活・文化の拡張領域
2025年グローバル市場規模予想
120億ドル
人工筋肉は、小型軽量、低電位、無音、極限条件・水中や大気中で動くなどの特徴があり、従来のモータ技術には出来ない動きが可能になります。生物の筋肉本来の動きに近いソフトな動きが可能となることもあり、ウェアラブル発電や波力発電、福祉用具、ロボット用アクチュエータ、マイクロアクチュエータ(μtas(生化学分析デバイス)、マイクロ燃料電池やマイクロ冷却装置への応用)などへの応用が期待されている。2025年までの福祉用具の市場規模は1兆1,900億円、波力発電の市場規模は1兆4,000億円、メカトロニクス部品の市場規模は1兆1,700億円、MEMSデバイスの市場規模は1兆1,700億円といわれており、人工筋肉はこれら全てに関わる要素技術なのでその応用性と市場性はとても魅力的である。その一方で、製造コストの削減、自在な変形運動を実現するための電極構造のパターニング、運動性能向上などが課題となる。2014年7月、安倍首相は2020年までに、ロボット市場規模を今の3倍である2.4兆円まで拡大し、ロボット五輪を開催したいと発言したことが海外でも注目された.アベノミクスの経済成長策の中でも重要な位置を占めるロボットの活用、その重要な技術要素である人工筋肉、ソフトアクチュエータの果たすべき役割は大きい。上記のことから、2025年時点での人工筋肉のグローバル市場規模を、1.2兆円≒120億ドルと推定しています。
危険作業ロボット・管内作業ロボット・人命救助ロボット(Hibot社)
3Dプリンタ製インテリジェント義手
福祉車両
TESLA MORTORS 東京モーターショー2013
手術ロボットマスタ-スレイブ連携に人工筋肉利用
この市場で活躍する可能性が高い職種です。
この市場で 活躍する職種 |
![]() 機械系エンジニア |
![]() 意匠設計 |
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![]() メディカル系 |
![]() 電気系エンジニア |
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![]() IT・通信分野研究開発 |
![]() メディカル系 |
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![]() 化学分野研究開発 |
![]() 医療機器開発 |
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![]() バイオ分野研究開発 |
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物理的・化学的エネルギーを動力に変換して、ロボットの関節を屈伸させるなど、物を動かしたり制御したりする機械的・流体圧的な機構をアクチュエーター(actuator:作動装置)と呼ぶ。人工筋肉は、素材自体が伸縮性を有するソフトアクチュエーターであり、圧縮空気をゴムホースに導入して伸縮させるゴム人工筋肉や、導電性ポリマーに電圧をかけて伸縮させる人工筋肉、カーボン・ナノチューブに電圧をかけて伸縮させる人工筋肉、形状記憶合金を過熱したり冷却したりして伸縮させる人工筋肉、磁性ゲルに磁場を与えてゲルの体積を変化させることにより伸縮させる磁性ゲル人工筋肉(フレキシブルポンプ)などがある。
人工筋肉の応用形態としては、ロボットや重機などにおける人間の骨格筋を模した文字通りの人工筋肉や、人工心臓・人工肛門等の人工臓器の駆動素子等のマクロな系への応用(パワーアクチュエーター)のほか、薬物徐放システム用デバイス、マイクロポンプやマイクロバルブ等のミクロな系への応用(マイクロアクチュエーター)も進められており、人体の動作を支援する動作支援装置やヒューマノイド・ロボット、湾曲動作をなす内視鏡装置など、様々な特許も生まれているさらに、石油依存・原発依存からの脱却が世界的な課題とされる今、「エナジー・ハーベスティング」(エネルギーの収穫)という新しい概念が興りつつある。この収穫技術は太陽光などの自然エネルギーだけに限定されるのではなく、ハイブリッド車や電動アシスト自転車が、ブレーキをかけた時の制動エネルギーを、電気エネルギーに回生変換するシステムや、人が歩いたり走ったりして生じる運動エネルギーをバッテリーに蓄電するシステムなども含まれる.たとえば、SRI(Stanford Research Institute)は、シリコンでできた薄い膜が変形すると電気エネルギーを作れる発電システムを開発した。この技術を使えば、ポリマーに電気を流して筋肉を収縮させるのとは逆に、筋肉が収縮したら電気が発生する仕組みで、人の呼吸で携帯電話の電源をまかなうことも期待されるという。
このように、人工筋肉アクチュエータは、ファクトリー・オートメーションから人命救助、人工臓器、エコ発電など既に幅広い分野での応用が期待されているが、新しい発想と挑戦があれば、その活躍の場はまだまだ広がると考えられる。