astavisionが企業・特許情報のビッグデータ分析により、今後成長が見込まれる市場を分類した「2025年の成長領域」。近日公開予定の「気象予測・潮流潮位予測」市場コンテンツについて、その一部をプレビューする。
2014年4月、経済産業省は、「天気予報で物流を変える」をサブタイトルに、「需要予測の精度向上による食品ロス削減及び省エネ物流プロジェクト」の最終報告を発表した。同省が日本気象協会と連携して実施したこのプロジェクトでは、気象情報とPOSデータ(店のレジなどにおける販売時点での売り上げ等の販売情報)、発注データ、廃棄データなどのビッグデータを解析し、高度な需要予測を行うことで、食されず廃棄されてしまう、冷やし中華つゆや豆腐の余剰生産量(食品ロス)を30~40%削減できる可能性があることが分かったという。
現在日本国内での「食品ロス」は年間約500~800万トンに上り、世界全体の食料援助量約400万トンを超え、深刻な課題となっている。需要量以上の商品を生産した結果、流通業等からメーカへの返品額は1,691億円に達していると見られ、その分、余剰のCO2が排出されていることになる。また、日本IBM東京基礎研究所では、「将来のビジネス・リスクに備える予見的意思決定支援技術」として、気象予測、洪水予測、渋滞予測を組み合わせた渋滞対策シミュレーション(IBM Mega Traffic Simulator)の研究が、科学技術振興機構(JST)CRESTおよび総務省PREDICTの助成を受けて行われた。
このように、気象予測をはじめとする自然界の事象のビッグデータを解析することで、物流や交通の変化を通して、経済効果に影響をもたらすことも可能になってきた。
海洋変動については、風波や津波などによる水位変動に比べて緩慢な海水面の上り下りを海洋潮汐といい、月や太陽のような天体の及ぼす重力が主要な作用である天文潮汐、気象の変化に伴う気象潮汐、太陽放射が主原因とみられる放射潮汐のほか、メカニズムが十分理解されていない異常潮汐などに分けられる。
気象庁では、日本国内各地の潮汐観測地点(検潮所など)に設置された検潮儀や津波観測計による実測値および、天文計算から得られる天文潮位(平常潮位:過去に観測された潮位データの解析をもとにして計算した予測値)と潮位偏差(実測潮位と天文潮位の偏差)を発表している。
気象予測や潮汐予測は、生活と密接に関わることはもちろん、交通機関や社会インフラの安全にも大きく関わり、さらには、農業や物流をはじめとする産業活動・経済活動にも大きな影響を与えている。様々な自然情報の統合により得られるビッグデータの解析が非常に重要なカギを握っている。
近日公開予定の「気象予測・潮流潮位予測」市場コンテンツでは、この市場の最新技術やグローバル市場規模、活躍できる職種などを紹介する。