近年、より成熟し横断的になった産業の中で、多くの企業が異分野での新規事業創出を目指し、また大学・研究機関は研究開発成果・特許の事業化促進を活発化させるなど、激しい競争環境が生まれている。
総務省によると、企業の好業績などを背景に、企業や大学・研究機関などの2014年度の科学技術研究費総額が前年度比4.6%増の18兆9713億円となり、2年連続の増加で、リーマン・ショック前の07年度(18兆9438億円)を上回って過去最高を更新しました。また、国内総生産(GDP)に占める比率も3.9%と過去最高を記録している。
このように研究開発への投資に追い風が吹く中で、競争的研究資金である「科研費」の平成28年度助成額は前年度より25億円増の2343億円になる見通しとなっている。(※1)
そこで今回は、有望成長市場のうちの一つであり、2006年以降で総額約120億円の科研費が交付されている「人工知能(知的エージェント・
(※1) 財務省「平成28年度文教予算のポイント(概要)」より引用
■「人工知能(知的エージェント・
(※2)研究代表者が所属する大学・研究機関
(※3) 2006~2015年の交付分。2016年1月時点でデータ取得
(※)画像クリックで拡大できます。
1位の東京大学は辻井潤一教授らによる「高度言語理解のための意味・知識処理の基盤技術に関する研究」(4億9933万円)など144件で約21億円を獲得。
2位の京都大学は椹木哲夫教授らによる「記号過程を内包した動的適応システムの設計論」(2億7703万円)など76件で約9億6000万円を獲得。
3位の大阪大学は浅田稔教授らによる「構成的手法による身体バブリングから社会性獲得にいたる発達過程の理解と構築」(1億5184万円)など68件で約8億6000万円を獲得。
4位の東京工業大学は奥村学教授らによる「代表性のあるコーパスを利用した日本語意味解析」(8470万円)など58件で約5億円を獲得。
5位の九州大学は戸田裕之教授らによる「リバース4D材料エンジニアリングによる材料開発プロセス革新」(1億3572万円)など49件で約4億3000万円を獲得。
6位の名古屋大学は高橋隆教授らによる「ノンコーディングRNAによる発現統御ネットワークの解明に基づくがんの個性の描出」(2億3725万円)など15件で約4億円を獲得。
7位の国立情報学研究所は安達淳教授らの「情報爆発時代の情報検索基盤技術」(8230万円)など25件で約3億8000万円を獲得。
8位の産業技術総合研究所は小島功研究員らの「大規模・異種の時空間データ統合で生じる矛盾を許容するサイエンスクラウド基盤」(4706万円)など37件で約3億6000万円を獲得。
9位の北海道大学は郷原一寿教授らの「マルチスケールな時空間ニューロダイナミクスの計測と制御」(5031万円)など36件で約3億5000万円を獲得。
10位の東北大学は田中和之教授らの「大規模確率場により高度化された確率推論システムの設計」(6530万円)など38件で2億9000万円を獲得。
■科研費(科学研究費助成事業)について(※3)
科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金/科学研究費補助金)は、人文・社会科学から自然科学まで全ての分野にわたり、基礎から応用までのあらゆる「学術研究」(研究者の自由な発想に基づく研究)を格段に発展させることを目的とする「競争的研究資金」であり、ピア・レビューによる審査を経て、独創的・先駆的な研究に対する助成を行うものです。
(※3)日本学術振興会HPより引用
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