コネクテッドカーとは、情報通信端末の機能を有する自動車である。自動車に取り付けられているセンサにより車両の状態や周囲の状況などの様々なデータを取得し、ネットワークと接続して、様々なサービスを提供する。テレマティクス(Telematics)は、遠隔通信(Telecommunication)と情報学(Informatics)を組み合わせた造語である。自動車などに搭載した通信システムにより、様々な情報を送受信するシステムのことである。コネクテッドカーにはテレマティクスが必須であり、テレマティクスはコネクテッドカーのあらゆるサービスに関わっている。これらは、無線通信の高速・大容量化やクラウドの普及によるビッグデータの流通を背景として成長してきた。
目次
はじめに
アスタミューゼ社のご紹介
弊社は世界の無形資産・イノベーションを可視化し 社会課題解決と未来創造を実現する、データ・アルゴリズム企業であり、
イノベーション投資の流入に加え、イノベーターの流れを機械的に分析し、データに基づいた成⻑領域を定義している。
本レポートのご紹介
アスタミューゼでは今芽吹きつつある黎明期の技術シーズや今後 10 年から 20 年 のスパンで大きく開花すると期待される初動段階の技術市場に重点を置きつつ、生活文化の中に根 付く技術にも光を当て、総じて未来を創る技術分類の網羅に取り組んできた。
このために、国内第一線の知を結集して全世界の論文・特許、国内外の国際会議やシンポジウム、展示会等の情報並びに独自ネットワークによる口コミ情報を活用し、136 の有望成長市場と、40 の 未来技術を選んだ。主にビジネス視点で策定された有望成長 136 市場を対象にしており、本レポートは、『コネクテッドカー・テレマティクス・シェアリングモビリティ』の未来推定に特化した内容となっている。
事業会社に向けては、イノベーションに関わる経営課題を中心に戦略構築支援/実行支援を実施しており、
・自社の既存事業の優位性がいつまで続くかわからない
・既存事業の成長が踊り場にきているので、使っている技術 を別で活かせる可能性を探りたい
・既に着手している研究開発を続けるべきどうか、もしくは 自社開発ではない方法があるかを含めて検討したい
といった企業のよくあるお悩みを解決している。
コネクテッドカー・テレマティクス・シェアリングモビリティの現状
コネクテッドカーのサービスは、情報・娯楽サービスを中心とするものと走行データの収集や解析を中心とするものに大別される。情報・娯楽サービスは、ドライバーが自動運転により移動しながら他の活動ができるようになるにつれ、発展が期待されている分野である。カーナビやスマートフォンの利用、音楽や映画のダウンロードや飲食店情報の提供、周辺の交通情報に基づく最も効率的なルートの割り出しや安価なガソリンスタンドの検索などがあげられる。走行データの収集や解析を中心とするもので、すでに実用化されているサービスとして、スバルの 「アイサイト」や日産自動車の「プロパイロット」といった自動車向け運転支援システムがある。これらは、渋滞時などにアクセルとブレーキ、ステアリングをコントロールして、前の車を自動追従する。自動運転の技術により、ヒースロー空港で駐車場から乗客をターミナルまで運ぶといった、特定のサービスに特化した自動走行車のシステムが開発されており、自動運転によるサービスは今後も拡大していくと考えられている。
今後の見通し・将来性や展望
大きな課題は、車両搭載システムへの不正侵入である。すでに、研究者によるテスラや BMW のシステムへの不正侵入が成功している。遠隔操作での車の窃盗だけでなく、エンジンやブレーキの制御装置への操作により殺人も可能であるため、セキュリティ対策が必須である。不正侵入に対しての安全性がコネクテッドカーの普及に影響すると考えられる。コネクテッドカー市場の要素技術の進歩は著しく、各国政府も力を入れている市場であり、自動運転や安全性向上を中心として大きな成長が見込まれている。
近未来 2030年の市場規模予測
アスタミューゼ社による『コネクテッドカー・テレマティクス・シェアリングモビリティ』現在の世界市場規模推定と近未来の世界市場規模予測。
2022年には推定3,686億米ドルだったものが、2030年には13,721億米ドルになると予測している。
スタートアップ投資動向と投資額
コネクテッドカー・テレマティクス・シェアリングモビリティの2010 年から 2019 年の 10 年間における世界のグラントの資金流入額は総額 $88M である。
本レポートでは、
・世界のスタートアップ設立社数と被投資額の累計/推移
・グラント採択数と総配分額ランキング
・世界のグラント配分額上位25テーマ
・日本のグラント配分額上位25テーマ
を提供している。
現在の主要企業
本レポートでは、コネクテッドカー・テレマティクス・シェアリングモビリティ分野において、現時点で保有する技術が総合的に優位な企業を各種特許指標から評価し、ランキング形式でリスト化して提供している。
主なプレイヤーとして、
国外では、
・Hyundai Motor Co., Ltd.
・Robert Bosch GmbH
国内では、
・株式会社デンソー
などが含まれ、そういった
上位企業の保有する特許の中で、特に競争優位性が高い特許の概要と、最高エッジ指数での定量的な評価を記載している。
最新の技術開発具体例
本レポートでは、コネクテッドカー・テレマティクス・シェアリングモビリティにおける最新の技術開発事例を紹介している。
コネクテッドカー・テレマティクス・シェアリングモビリティの未来予測・将来性
未来の構成要素
本レポートでは、コネクテッドカー・テレマティクス・シェアリングモビリティに関連する・ITS スポット(ETC2.0/DSRC:Dedicated Short Range Communication)
・路車間通信システム (DSSS:Driving Safety Support Systems、V2I:Vehicle-to-Infrastructure)
・ASV(Advanced Safety Vehicle:先進安全自動車)
・車車間通信システム(CVSS:Connected Vehicles Support Systems、 V2V:Vehicle-to-vehicle)
・路側インフラ
などの技術要素と、
そういった様々な技術の進化、新しい可能性の発現、企業の把握すべき範囲を記載している。
未来のストーリー想定
本レポートでは、近未来に、車載セルラー通信を用いた、車車間通信・路車間通信が普及し始めるコネクテッドカー・テレマティクス・シェアリングモビリティについて、
未来のトレンドとして想定し得るストーリーを記載している。