全世界的問題である環境汚染、地球温暖化などの環境問題、燃油価格の高騰への対策は急務であり、自動車・船舶・航空機等の輸送における電動化はこの問題への解決策として注目されている技術である。特に近年、自動車の電動化は急速に進んでいる。ハイブリッド自動車は、エンジンと電動モ ーターの二つの動力源を使い分けて走行する自動車であり、他方、電気自動車は電動モーターのみを主動力源とする。プラグインハイブリッド自動車は、家庭用電源から充電できる電気自動車である。
目次
はじめに
アスタミューゼ社のご紹介
弊社は世界の無形資産・イノベーションを可視化し 社会課題解決と未来創造を実現する、データ・アルゴリズム企業であり、
イノベーション投資の流入に加え、イノベーターの流れを機械的に分析し、データに基づいた成⻑領域を定義している。
本レポートのご紹介
アスタミューゼでは今芽吹きつつある黎明期の技術シーズや今後 10 年から 20 年 のスパンで大きく開花すると期待される初動段階の技術市場に重点を置きつつ、生活文化の中に根 付く技術にも光を当て、総じて未来を創る技術分類の網羅に取り組んできた。
このために、国内第一線の知を結集して全世界の論文・特許、国内外の国際会議やシンポジウム、展示会等の情報並びに独自ネットワークによる口コミ情報を活用し、136 の有望成長市場と、40 の 未来技術を選んだ。主にビジネス視点で策定された有望成長 136 市場を対象にしており、本レポートは、『電気/ハイブリッド駆動(自動車・船舶・航空機)』の未来推定に特化した内容となっている。
事業会社に向けては、イノベーションに関わる経営課題を中心に戦略構築支援/実行支援を実施しており、
・自社の既存事業の優位性がいつまで続くかわからない
・既存事業の成長が踊り場にきているので、使っている技術 を別で活かせる可能性を探りたい
・既に着手している研究開発を続けるべきどうか、もしくは 自社開発ではない方法があるかを含めて検討したい
といった企業のよくあるお悩みを解決している。
電気/ハイブリッド駆動(自動車・船舶・航空機)の現状
地球環境問題への意識の高まりの中で電気自動車の開発が活気を呈してきている。その背景には、米国・カリフォルニア州が、州内で一定台数以上の自動車を販売するメーカーに対して、一定比率、CO2 や排気ガスを排出しないゼロエミッション車(ZEV, zero emission vehicle)にすることを義務付けた「ZEV 規制」がある。各自動車メ ーカーは 2025 年には、カリフォルニア州での新車販売台数の 22%以上を ZEV にすることが求められており、その基準が満たせない場合、規制を満たした他社からクレジットを購入するか、多額の罰金を納入することが要求される。
また、2018 年末に欧州連合加盟国と欧州議会は、2030 年までに乗用車の CO2 排出量を 2021 年の目標値 95g/km からさらに 37.5%削減することで合意した。
このように環境問題への対策が各国で義務化される中、電気自動車の普及促進が求められている。
今後の見通し・将来性や展望
今後の市場成長には、電気自動車の購入時のコスト低減、充電スポットの拡充と、一回の充電で走れる航続可能距離の延長が重要となる。
まず、安価・安全で、長距離の航続距離を有する電気自動車を普及させるために欠かせない要素が、バッテリーの技術革新である。また、現在注目されているのが、正極の活物質(注・電子の受け渡しをする物質)に酸素を、負極に金属を使う空気電池であり、リチウムイオン電池に比べ、重量エネルギー密度が 5 倍以上となると考えられている。他にも、リチウムイオン電池の代替となりうるのがスーパーキャパシタ(電気二重層コンデンサー)である。今後もさまざまな技術革新によりバッテリーの性能向上と、それに伴う電気自動車の航続距離の上昇が期待される。
電気自動車の普及にむけてはインフラ技術の進歩も進んでいる。2019 年にはドイツのボッシュが、 ブロックチェーン技術のひとつであるイーサリアムを導入した電気自動車向け充電システムを発表 している。
自動車の電動化が先行しているものの、船舶・航空機の分野でも脱炭素化に向けて電動化の兆しが見られる。船舶に関しては国際海事機関(IMO)が、航空機に関しては国際民間航空機関(ICAO) が 2050 年に向けた規制・義務化を主導している。具体的には、船舶では、2050 年の GHG 総排出量 50%以上(2008 年比)削減に向けて、ゼロエミッションを目指した技術開発を検討している。2028 年までのゼロエミッション船の商業運航実現を目指し、LNG、水素、アンモニア等のガス燃料船の開発・実用化に向けた取組を加速している。
航空機では、バイオジェット燃料の導入及びクレジット購入による CO2 排出削減を 2021 年から自主規制とし、2027 年から義務化としている。航空機の電動化は NASA 等で検討され、完全電動航空機とハイブリッド航空機が提示されている。完全電動航空機は数百 km 程度の飛行を想定した小型短距離機を対象としている。
近未来 2030年の市場規模予測
アスタミューゼ社による『電気/ハイブリッド駆動(自動車・船舶・航空機)』現在の世界市場規模推定と近未来の世界市場規模予測。
2022年には推定2,290億米ドルだったものが、2030年には11,714億米ドルになると予測している。
スタートアップ投資動向と投資額
電気/ハイブリッド駆動(自動車・船舶・航空機)の2010 年から 2019 年の 10 年間における世界のグラントの資金流入額は総額 $1,400M である。
本レポートでは、
・世界のスタートアップ設立社数と被投資額の累計/推移
・グラント採択数と総配分額ランキング
・世界のグラント配分額上位25テーマ
・日本のグラント配分額上位25テーマ
を提供している。
現在の主要企業
本レポートでは、電気/ハイブリッド駆動(自動車・船舶・航空機)分野において、現時点で保有する技術が総合的に優位な企業を各種特許指標から評価し、ランキング形式でリスト化して提供している。
主なプレイヤーとして、
国外では、
・Hyundai Motor Co., Ltd.
・KIA Motors A/S
国内では、
・トヨタ自動車株式会社
などが含まれ、そういった
上位企業の保有する特許の中で、特に競争優位性が高い特許の概要と、最高エッジ指数での定量的な評価を記載している。
最新の技術開発具体例
本レポートでは、電気/ハイブリッド駆動(自動車・船舶・航空機)における最新の技術開発事例を紹介している。
電気/ハイブリッド駆動(自動車・船舶・航空機)の未来予測・将来性
未来の構成要素
本レポートでは、電気/ハイブリッド駆動(自動車・船舶・航空機)に関連する・充電装置
・給電装置
・エンジン制御装置
・燃料電池
・ハイブリッドシステム(シリーズ式・パラレル式)
などの技術要素と、
そういった様々な技術の進化、新しい可能性の発現、企業の把握すべき範囲を記載している。
未来のストーリー想定
本レポートでは、近未来に、電気自動車・ハイブリッド車のシェアが 3 割を超す電気/ハイブリッド駆動(自動車・船舶・航空機)について、
未来のトレンドとして想定し得るストーリーを記載している。