フードテックという言葉は近年盛んに用いられるが、明確な定義はなく 食にまつわる新しい技術 のことをいう。広義には農業などの食糧生産を指すこともあるが、本記事においては食品の加工・調理とその周辺技術について取り扱う。
目次
はじめに
アスタミューゼ社のご紹介
弊社は世界の無形資産・イノベーションを可視化し 社会課題解決と未来創造を実現する、データ・アルゴリズム企業であり、
イノベーション投資の流入に加え、イノベーターの流れを機械的に分析し、データに基づいた成⻑領域を定義している。
本レポートのご紹介
アスタミューゼでは今芽吹きつつある黎明期の技術シーズや今後 10 年から 20 年 のスパンで大きく開花すると期待される初動段階の技術市場に重点を置きつつ、生活文化の中に根 付く技術にも光を当て、総じて未来を創る技術分類の網羅に取り組んできた。
このために、国内第一線の知を結集して全世界の論文・特許、国内外の国際会議やシンポジウム、展示会等の情報並びに独自ネットワークによる口コミ情報を活用し、136 の有望成長市場と、40 の 未来技術を選んだ。主にビジネス視点で策定された有望成長 136 市場を対象にしており、本レポートは、『フードテック』の未来推定に特化した内容となっている。
事業会社に向けては、イノベーションに関わる経営課題を中心に 戦略構築支援/実行支援を実施しており、
・自社の既存事業の優位性がいつまで続くかわからない
・既存事業の成長が踊り場にきているので、使っている技術 を別で活かせる可能性を探りたい
・既に着手している研究開発を続けるべきどうか、もしくは 自社開発ではない方法があるかを含めて検討したい
といった企業のよくあるお悩みを解決している。
フードテックの現状
食べることは生命を支えるために最も重要なことの1つであり、十分な量の栄養を安全に摂取することは人類の歴史的課題でもあった。2018年に世界では栄養不足の人口が8.2億人いるとされる一方、50年には世界人口は3割増えて96億人になり、さらに食糧需要の増大が予想されている。地球 温暖化による気候変動により、現在の耕作地が耕作に適さなくなる懸念があるうえ、干ばつや豪雨被害に見舞われれば収穫減を余儀なくされる。フードテックが注目されるのは、こうした喫緊の課題である食糧問題に貢献できると期待されているためでもある。
国連のSDGs(持続可能な開発目標)では、30年までに小売り・消費レベルにおける世界全体の1人あたりの食糧廃棄量を半減させ、収穫後損失など の生産・サプライチェーンにおける食品ロスを減少させるとの目標を掲げる。国連食糧農業機関(FAO)によると、農業生産から消費に至るフードサプライチェーン全体で、食糧の約3分の1が捨てられ、その量は1年あたり約13億トンに上るという。日本でもフードロスとして廃棄される量は年間 約612万トン(17年度)と試算され、日本政府は「SDGsアクションのプラン2018」の中で、家庭における食品ロスの削減の取り組みの普及啓発や食 品産業に対してフードバンク活動の推進、サプライチェーンの商習慣の見直しなど、食品廃棄物の削減・活用に向けた取り組みを始めている。
今後の見通し・将来性や展望
食べることは生命を支えるために最も重要なことの1つであり、十分な量の栄養を安全に摂取することは人類の歴史的課題でもあった。2018年に世界では栄養不足の人口が8.2億人いるとされる一方、50年には世界人口は3割増えて96億人になり、さらに食糧需要の増大が予想されている。地球温暖化による気候変動により、現在の耕作地が耕作に適さなくなる懸念があるうえ、干ばつや豪雨被害に見舞われれば収穫減を余儀なくされる。 フードテックが注目されるのは、こうした喫緊の課題である食糧問題に貢献できると期待されているためでもある。
米国のフードテックイベント「スマートキッチン・サミット2017」では、創設者のマイケル・ウルフ氏が世界のフードテックの市場規模が25年までに700兆円規模に達するという発表をした。また、米調査会社によれば、14年からフードテックを手がけるスタートアップへの投資が目立って増え始め、19年の総投資額は150億ドル(約1兆6,000億円)に達しているという。
近未来 2030年の市場規模予測
アスタミューゼ社による現在の世界市場規模推定と近未来の世界市場規模予想。
2022年には推定1,192億米ドルだったものが、2030年には1,378億米ドルになると予測している。
投資動向と投資額
スタートアップ投資の世界動向
設立数は2000年代後半から徐々に増えたが、2016年以降は減少傾向にある。調達金 額は2010年代後半から急激に増加している。ここ数年、環境に配慮した植物ベースの動物代替食品を手掛ける企業が調達額を伸ばしている。
研究投資の国別動向: グラント採択数と総配分額ランキング
採択数においては中国、日本の研究機関がほとんどで、配分額では欧米の研究機関が多くなっている。中国、日本においては1件当たりの金額は少ないものの数多く採択、逆に欧米では食品を課題のひとつとした大きなプロジェクトとしての採択が目立つ。
研究投資の国別動向: 【世界】グラント配分額上位25テーマ
食品を課題のひとつとした大型のプロジェクトが目立つ。ロボティクスや3Dプリンティングなどの機械分野、酵素反応や流体力学などの材料科学分野など、多くの学際領域にまたがって採択されている。
研究投資の国別動向: 【日本】グラント配分額上位25テーマ
食品の加工・調理方法に関するものと、成分や美味しさなどの測定技術に関する ものに大きく分けられる。ベースとなる学際領域は、物理、生物、化学ばかりでなく、人間科学(行動・言語)まで含まれる。
現在の主要企業
世界の主要企業
本レポートでは、フードテック分野において、現時点で保有する技術が総合的に優位な企業を各種特許指標から評価し、ランキング形式でリスト化して提供している。
世界の主要企業: 競争優位性の高い特許
上位企業の保有する特許の中で、特に競争優位性が高い特許(最高エッジ指数で判断)を見てみると、A社は個人用の飲料製造機に関する出願を多数行っていることが分かる。
最新の技術開発具体例
『フードテック』に関連した成長領域
アスタミューゼが定義する「未来を創る2030年の成長領域」では7領域がフードテックに該当。
本レポートでは、フードテックにおける最新の技術開発の事例を6つ紹介している。
最新の技術開発事例サンプル
事例サンプル「3DフードXXXXX制御システム」
フードテックの未来予測・将来性
未来の構成要素
フードテックはサプライチェーン全体にわたって広く存在。これ以外にも様々な技術分野が関係しており、周辺技術と合わさって未来を構成する。
未来のストーリー想定
本レポートでは、フードテックに関連する技術によって、未来のトレンドとして想定し得るストーリーを記載している。