生体情報とは、体温・血圧・心拍・筋電図・脳波など、生体が発する全ての情報を指す。これらの計測は、医学における診断や治療にとって重要な要素であり、医学に工学技術を応用する医用工学(Medical Engineering, ME)において研究が行われてきた。また、生体情報は医療・健康分野以外への応用も進んでおり、監視カメラや決済サービスにおいて本人を確認するセキュリティ対策、脳波解析のマーケティングでの活用などへの取り組みが進む。
一方、デジタルヘルスとは、デジタル化された生体情報を用いて、健康促進や医療支援などを行うことを指す。生体情報の主要な応用分野の1つで、モバイルヘルス(mHealth)、健康情報技術、遠隔医療、個別化医療などを包含する。情報を収集するセンシング技術と情報解析技術をベースに、IoT、拡張現実(AR)、仮想現実(VR)、ロボティクス技術なども活用する。
目次
はじめに
アスタミューゼ社のご紹介
弊社は世界の無形資産・イノベーションを可視化し 社会課題解決と未来創造を実現する、データ・アルゴリズム企業であり、
イノベーション投資の流入に加え、イノベーターの流れを機械的に分析し、データに基づいた成⻑領域を定義している。
本レポートのご紹介
アスタミューゼでは今芽吹きつつある黎明期の技術シーズや今後 10 年から 20 年 のスパンで大きく開花すると期待される初動段階の技術市場に重点を置きつつ、生活文化の中に根 付く技術にも光を当て、総じて未来を創る技術分類の網羅に取り組んできた。
このために、国内第一線の知を結集して全世界の論文・特許、国内外の国際会議やシンポジウム、展示会等の情報並びに独自ネットワークによる口コミ情報を活用し、136 の有望成長市場と、40 の 未来技術を選んだ。主にビジネス視点で策定された有望成長 136 市場を対象にしており、本レポートは、『生体情報・デジタルヘルス』の未来推定に特化した内容となっている。
事業会社に向けては、イノベーションに関わる経営課題を中心に 戦略構築支援/実行支援を実施しており、
・自社の既存事業の優位性がいつまで続くかわからない
・既存事業の成長が踊り場にきているので、使っている技術 を別で活かせる可能性を探りたい
・既に着手している研究開発を続けるべきどうか、もしくは 自社開発ではない方法があるかを含めて検討したい
といった企業のよくあるお悩みを解決している。
生体情報・デジタルヘルスの現状
中小事業体が多い医療・介護分野の経営効率化、遠隔医療や在宅医療など地域における医療・介護連携での情報の共有化にもデジタルヘルスによるイノベーションが期待される。2009年、個人の医療情報の取扱事業者を、医療機関と提携する事業者まで拡大し、技術革新を進める民間団体の標準規格策定などを支援するHITECH法が米国で制定された。また、新型コロナウイルス対策をにらみ、コロナ特有の肺炎画像を診断する人工知能(AI)、 外出自粛が広がる中でのアプリによるメンタルヘルスケアなどの取り組みが加速している。
今後の見通し
ウェアラブル端末などから生体情報を収集・活用する健康管理ビジネスの展開や、ベンチャー企業による治療アプリ開発などの動きが一段と活発化する。一人ひとりの健康状態を常時モニターしながらの健康管理・予防医療や、個人ごとに最適化した治療・介護などの実現につながる動きだ。次世代高速通信の5Gや仮想現実(VR)と融合した技術開発も今後増加する。
今後は、モバイルヘルス(mHealth) や遠隔医療によって時間的・地理的制約がなくなり、診断への人工知能(AI)の導入や蓄積された医療ビッグデータの解析によって、疾病の超早期発見と予防医療・先制医療へのシフトが一段と進むことが見込まれる。
近未来 2030年の市場規模予測
アスタミューゼ社による現在の世界市場規模推定と近未来の世界市場規模予測。
2022年には推定1,192億米ドルだったものが、2030年には7,480億米ドルになると予測している。
投資動向と投資額
スタートアップ投資の世界動向
生体情報・デジタルヘルスのスタートアップの設立件数は、2000年以降年間XX〜XX件程度で推移していた。2010年前後から急増し、2010年代中頃のピーク時には年間XX件を超え、2010年代後半は減少傾向にある。一方、調達額で見ると一貫して右肩上がりの傾向が続いており、既存スタートアップ企業の堅調な成長がうかがえる。
研究投資の国別動向
本レポートでは、
・グラント採択数と総配分額ランキング
・【世界】グラント配分額上位25テーマ
・【日本】グラント配分額上位25テーマ
を提供している。
グラント採択数と総配分額で共にトップはXXX大学で、2位以下を大きく引き離している。日本の大学は、採択数についてはランクインしているが、総配分額は圏外で、XXX万ドル余りを獲得した東京大学のXXX位が最高となっている。
世界のグラント配分額上位には、細胞内のわずかな変化を捉える量子センサやゲノム情報の高感度画像観測に使われる量子イメージングといった量子技術関連が多くを占める。
日本のグラント配分額上位は、脳科学研究もしくは生活習慣病・がん関連の研究が占める。
主要企業
本レポートでは、生体情報・デジタルヘルス分野において、現時点で保有する技術が総合的に優位な企業を各種特許指標から評価し、ランキング形式でリスト化して提供している。
上位企業の保有する特許の中で、特に競争優位性が高い特許(最高エッジ指数で判断)を見てみると、XXXセンサを備えたXXXやXXXシステムのほか、XXXやXXX装置、XXXやXXX情報を利用したXXXシステムなどが並んでいる。
最新の技術開発具体例
本レポートでは、生体情報・デジタルヘルスのペイシェントジャーニーにおける最新の技術開発の事例を6つ紹介している。
(例)「XXX関連疾患向けのXXX診断薬および治療薬のための方法およびシステム」
生体情報・デジタルヘルスの未来予測・将来性
未来の構成要素
生体情報・デジタルヘルスに関連する様々な技術が進化し、新しい可能性の発現とともに、企業の把握すべき範囲も複雑化している。また、医療・ヘルスケアだけではなく様々な周辺領域が関連している。
未来のストーリー想定
本レポートでは、生体情報・デジタルヘルスに関連する技術によって、未来のトレンドとして想定し得るストーリーを記載している。