本領域は、二酸化炭素による地球温暖化や石油資源の消費を抑制することが期待されている素材である、バイオマスプラスチック・生分解性プラスチック・バイオプラスチック、あるいはプラスチック等のリサイクル、木材や紙類といった天然資源の高機能化などの技術が含まれ、地球環境保全の観点を兼ね備えた素材開発に関する。そのため、人工関節やインプラントといった医学や歯学分野で用いるようなバイオマテリアルや生体生分解材料は本領域に含まれない。
目次
はじめに
アスタミューゼ社のご紹介
弊社は世界の無形資産・イノベーションを可視化し 社会課題解決と未来創造を実現する、データ・アルゴリズム企業であり、
イノベーション投資の流入に加え、イノベーターの流れを機械的に分析し、データに基づいた成⻑領域を定義している。
本レポートのご紹介
アスタミューゼでは今芽吹きつつある黎明期の技術シーズや今後 10 年から 20 年 のスパンで大きく開花すると期待される初動段階の技術市場に重点を置きつつ、生活文化の中に根 付く技術にも光を当て、総じて未来を創る技術分類の網羅に取り組んできた。
このために、国内第一線の知を結集して全世界の論文・特許、国内外の国際会議やシンポジウム、展示会等の情報並びに独自ネットワークによる口コミ情報を活用し、136 の有望成長市場と、40 の 未来技術を選んだ。主にビジネス視点で策定された有望成長 136 市場を対象にしており、本レポートは、『バイオマテリアル・生分解性材料』の未来推定に特化した内容となっている。
事業会社に向けては、イノベーションに関わる経営課題を中心に戦略構築支援/実行支援を実施しており、
・自社の既存事業の優位性がいつまで続くかわからない
・既存事業の成長が踊り場にきているので、使っている技術 を別で活かせる可能性を探りたい
・既に着手している研究開発を続けるべきどうか、もしくは 自社開発ではない方法があるかを含めて検討したい
といった企業のよくあるお悩みを解決している。
バイオマテリアル・生分解性材料の現状
2018 年に作成されたバイオプラスチック概況によると、バイオマスプラスチックとは「再生可能なバイオマス資源を原料に、化学的または生物学的に合成することで得られるプラスチック」と定義されている。焼却処分した場合でもバイオマスのもつカーボンニュートラル性から大気中の CO2 濃度を上昇させず地球温暖化の防止や化石資源への依存度低減にも貢献することが期待され、研究初期はトウモロコシ・サトウキビといった糖原料、バームヤシ・大豆といった油脂原料を中心に開発されてきた。近年では食用作物ではなく、木材のような非可食バイオマス、あるいは利用用途のない廃棄物や微細藻類を原料にバイオマスプラスチックを合成する技術が盛んである。
生分解性プラスチックはバイオマスプラスチックとは異なる切り口での分類であり、原料は石油由来の原料でもよい。バイオプラスチック概況によると生分解性プラスチックは、「通常のプラスチックと同様に使うことができ、使用後は自然界に存在する微生物の働きで、最終的に水と二酸化炭素に分解され自然界へと循環するプラスチック」と定義されている。
1980 年代から開発は行われており、開発した素材に対応する分解微生物に関する研究も進められているが、現在製品化されている多くは完全に分解するためには厳しい環境条件(熟成堆肥存在下温度 75℃など)が必要で、コンポスト化装置での処理が必要である。そのため海や土壌へ廃棄された場合ほとんど分解せず残るため、 海洋プラスチック問題の解決にならない。そこで大学などの研究機関及び複数の化学メーカーが海洋あるいは土壌で分解可能な素材の製品化に取り組んでいる。
今後の見通し・将来性や展望
欧州などを皮切りに始まったレジ袋有料化も日本で 2020 年から始まるなど、近年様々な局面でプラスチック製品は良くないという論調になりがちである。しかし本質的に何が問題であるかを真剣に考えることが本領域にはこれからますます必要不可欠になっていくであろう。
近未来 2030年の市場規模予測
アスタミューゼ社による『バイオマテリアル・生分解性材料』現在の世界市場規模推定と近未来の世界市場規模予測。
2022年には推定637億米ドルだったものが、2030年には1,151億米ドルになると予測している。
スタートアップ投資動向と投資額
バイオマテリアル・生分解性材料の2010 年から 2019 年の 10 年間における世界のグラントの資金流入額は総額 $2,500M である。
本レポートでは、
・世界のスタートアップ設立社数と被投資額の累計/推移
・グラント採択数と総配分額ランキング
・世界のグラント配分額上位25テーマ
・日本のグラント配分額上位25テーマ
を提供している。
現在の主要企業
本レポートでは、バイオマテリアル・生分解性材料分野において、現時点で保有する技術が総合的に優位な企業を各種特許指標から評価し、ランキング形式でリスト化して提供している。
主なプレイヤーとして、
国外では、
・Kingfa Sci. & Tech. Co., Ltd.
・Allergan, Inc
国内では、
・東洋製罐グループホールディングス株式会社
などが含まれ、そういった
上位企業の保有する特許の中で、特に競争優位性が高い特許の概要と、最高エッジ指数での定量的な評価を記載している。
最新の技術開発具体例
本レポートでは、バイオマテリアル・生分解性材料における最新の技術開発事例を紹介している。
バイオマテリアル・生分解性材料の未来予測・将来性
未来の構成要素
本レポートでは、バイオマテリアル・生分解性材料に関連する・機能性材料
・遺伝子操作
・細菌
・酵素
・酸化
・還元
・小型化
・軽量化
・低コスト化
などの技術要素と、
そういった様々な技術の進化、新しい可能性の発現、企業の把握すべき範囲を記載している。
未来のストーリー想定
本レポートでは、近未来に、バイオマスプラスチックの導入の拡大と、特に海洋汚染解決に向けた生分解性プラスチックの利用が普及するバイオマテリアル・生分解性材料について、
未来のトレンドとして想定し得るストーリーを記載している。