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日立グループのイノベーターたちが注目する市場・企業・人物とは?~Hitachi SOCIAL INNOVATION FORUM 2015 レポート~

text by : 編集部
photo   : 編集部

10月29日・30日の2日間、東京国際フォーラムで開催された「Hitachi SOCIAL INNOVATION FORUM 2015」。日立グループと社会との共創によりイノベーションを加速することを目指し、「INFRASTRUCTURE」「ENERGY」「URBAN」「HEALTHCARE」「INDUSTRY」「BUSINESS & SERVICE」「SECURITY」という7つのテーマで様々なセミナーや展示が行われた。

そこでastavisionでは「Hitachi SOCIAL INNOVATION FORUM 2015」に参加した日立グループのイノベーターたちが、どのような市場や技術、企業、人物に注目しているのか、話を聞いてみた。


 

■使いやすさを追求した超小型脳活動計測装置

谷波晃一朗さん(株式会社日立ハイテクノロジーズ 新事業創生本部 ブレインサイエンビジネスユニット)

谷波さん

日立グループでは、1995年に日立製作所が近赤外光を用いた脳機能計測技術「光トポグラフィ」を世界に先駆けて開発、脳科学の産業応用事業を推進してきた。今回出展している携帯型脳活動計測装置「HOT-1000」は、前額部の血流量変化をリアルタイムに計測し、スマートフォンやタブレットでの脳活動データ活用によるトレーニングアプリケーションの開発を可能にした。

あなたの注目している分野は?

脳が絡まない業種というものはないと思っていますが、その中でも特にこれ、と挙げるとすれば「未病」の分野です。QOLを上げていく、という部分に活用できればと思っています。また、企業の生産性向上や、スポーツ選手の能力開発などにも貢献できると思います。
私たちはこのように考えていますが、この技術や製品が世の中に出ていけば、私たちが思いも寄らない使い方が見つかるのではないかとも思っています。

注目している人物は?

東北大学の川島隆太教授はこの分野の第一人者ですので注目しています。
宇宙と脳は同じくらいわからないことが多いと言われているのですが、もしかしたら宇宙分野の方とコラボする日もくるかもしれませんね。


 

■ビッグデータを活用した火山噴火の被害予測

関口さん(株式会社日立製作所 情報・通信システム社 公共システム営業統括本部 第四営業本部 筑波情報システム営業所 主任)

日立製作所は防災科学技術研究所へ「火山リスクマネジメントシステム」を導入し、2015年4月から稼働開始した。これは火山噴火が発生した場合、溶岩流によってどの建造物が被害を受けるかを可視化するというもので、噴火後100時間先の影響を約2,400億通りのデータから約2時間で地図上に表示できるという。

「現在のシステムでは溶岩流のシミュレーションが対象ですが、将来的には降灰や火砕流なども含めた総合的なシミュレーションができればと考えています」(関口さん)

あなたの注目している分野は?

「異なるデータを地図上で掛け合わせることができる」という部分が肝のシステムですので、火山と建造物の掛け合わせ以外にも、交通や人流などのデータと掛け合わせることができます。このような技術は様々な分野で活用ができるので関心があります。

注目している企業は?

特定の企業ではありませんが、企業や研究所が一緒に新しい防災システムについて議論するワークショップなどが開催されています。産学が連携したこのような取り組みには注目していきたいと思います。

注目している人物は?

国内には110の火山があり、火山活動の研究には世間の多くの注目が集まっているので、こうした分野の研究者の方々に注目しています。日立は最新のITを提供するなど、これからも火山分野の研究を支援させていただきます。


 

■地域包括ケア支援自治体クラウドソリューション

川崎英樹さん(株式会社日立製作所 情報・通信システム社 公共システム事業部 全国公共システム第一本部 自治体ソリューション推進部 第3グループ 主任技師)

川崎さん

日立グループでは、厚生労働省が推進する在宅医療・介護連携事業に活用できる地域包括ケア支援自治体クラウドソリューションを提供しており、平成26年10月より茨城県笠間市で本稼働を開始。これにより、ケアマネジャーなど介護事業関係者や、市消防本部の救急隊員がインターネット経由で、市が保有する介護や緊急連絡先に関する情報を活用できるようになった。

あなたの注目している分野は?

地方銀行との連携です。人口が減っていく中で、地域の預金者情報とその方の行政情報/ヘルスケア情報をつなげることで、預金者の健康増進や見守りに関する周辺事業を活性化することができればと考えています。

注目している人物は?

行政情報を民間で利用する本ソリューションは、他の自治体での採用や引き合いもいただいています。今後は、医療や介護に関する研究を進めている大学などの研究者の方々とコラボレーションしながら、本ソリューションをより一層有効に活用するための手法や機能などを検討していきたいと考えています。


 

astavisionでは今後「ライフログ」「防災・災害時通信ネットワーク」「地域包括ケア」などの市場コンテンツを公開予定。

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