人工臓器は、人体組織の代行装置である。組織や臓器は先天的に、あるいは事故や加齢、疾病などによって後天的に形態や機能が失われるため、それらを再現・代替・補完する必要がある。最終的な治療のために用いられる場合もあれば、最終的な治療や機能回復までの一時的な橋渡しや、審美的な理由で用いられる場合もある。素材には生体に馴染みの良い材料(生体親和性材料)や生体に由来する材料が用いられる。
次に、インプラントとは、狭義では人工歯根(デンタルインプラント)を指すが、広義では体内に埋め 込まれる人工臓器を総称する。体内に埋め込むに当たっては、安全性や機能性、経済性などの課題があるが、人体を構成する器官や組織、細胞との親和性(生体親和性)が最も重要となる。
上記のような人工臓器やインプラントには、人体を構成する器官や組織、細胞に「異物」として認識されたり、排除されたりする度合いが少ない素材が用いられるが、それらを総称して生体親和性材料と呼ぶ。
目次
はじめに
アスタミューゼ社のご紹介
弊社は世界の無形資産・イノベーションを可視化し 社会課題解決と未来創造を実現する、データ・アルゴリズム企業であり、
イノベーション投資の流入に加え、イノベーターの流れを機械的に分析し、データに基づいた成⻑領域を定義している。
本レポートのご紹介
アスタミューゼでは今芽吹きつつある黎明期の技術シーズや今後 10 年から 20 年 のスパンで大きく開花すると期待される初動段階の技術市場に重点を置きつつ、生活文化の中に根 付く技術にも光を当て、総じて未来を創る技術分類の網羅に取り組んできた。
このために、国内第一線の知を結集して全世界の論文・特許、国内外の国際会議やシンポジウム、展示会等の情報並びに独自ネットワークによる口コミ情報を活用し、136 の有望成長市場と、40 の 未来技術を選んだ。主にビジネス視点で策定された有望成長 136 市場を対象にしており、本レポートは、『人工臓器・インプラント・生体親和性材料』の未来推定に特化した内容となっている。
事業会社に向けては、イノベーションに関わる経営課題を中心に戦略構築支援/実行支援を実施しており、
・自社の既存事業の優位性がいつまで続くかわからない
・既存事業の成長が踊り場にきているので、使っている技術 を別で活かせる可能性を探りたい
・既に着手している研究開発を続けるべきどうか、もしくは 自社開発ではない方法があるかを含めて検討したい
といった企業のよくあるお悩みを解決している。
人工臓器・インプラント・生体親和性材料の現状
先進国を中心に医療費の抑制が重要になっており、健康寿命を延ばすことが有効な手段となっている。特に高齢化が進む社会では、加齢や病気などで機能が低下・喪失した組織や臓器への治療ニーズが高まっている。既に、人工透析で使われる人工腎臓、人工肺、補助心臓や人工骨・人工関節などが実用化されており、ビジネスとしても大きな規模となっている。
今後の見通し・将来性や展望
当分野はすでに大きな市場があり、今後も製品の改善、代行対象となる器官の拡大などで成長が見込まれている。関連企業の規模では欧米が上位を占めているが、日本企業は付加価値の高い治療系の機器において欧米に劣後しており、相対的に規模が小さい。
iPS 細胞をはじめとする再生医療研究やティッシュエンジニアリング(組織工学)で技術的な優位性があり、今後の巻き返しが期待される。
近未来 2030年の市場規模予測
アスタミューゼ社による『人工臓器・インプラント・生体親和性材料』現在の世界市場規模推定と近未来の世界市場規模予測。
2022年には推定1,507億米ドル だったものが、2030年には3,860億米ドル になると予測している。
スタートアップ投資動向と投資額
人工臓器・インプラント・生体親和性材料の2010 年から 2019 年の 10 年間における世界のグラントの資金流入額は総額 $2,000M である。
本レポートでは、
・世界のスタートアップ設立社数と被投資額の累計/推移
・グラント採択数と総配分額ランキング
・世界のグラント配分額上位25テーマ
・日本のグラント配分額上位25テーマ
を提供している。
現在の主要企業
本レポートでは、人工臓器・インプラント・生体親和性材料分野において、現時点で保有する技術が総合的に優位な企業を各種特許指標から評価し、ランキング形式でリスト化して提供している。
主なプレイヤーとして、
国外では、
・Fresenius Medical Care
・Fenwal, Inc.
国内では、
・日機装株式会社
などが含まれ、そういった
上位企業の保有する特許の中で、特に競争優位性が高い特許の概要と、最高エッジ指数での定量的な評価を記載している。
最新の技術開発具体例
本レポートでは、人工臓器・インプラント・生体親和性材料における最新の技術開発事例を紹介している。
人工臓器・インプラント・生体親和性材料の未来予測・将来性
未来の構成要素
本レポートでは、人工臓器・インプラント・生体親和性材料に関連する・臓器機能代行
・人工臓器
・補助人工心臓(Ventricular Assist Devices, VAD)
・拍動型人工心臓/軸流型人工心臓
・人工肝臓/ハイ ブリッド型人工肝臓
・人工腎臓
・人工関節
・人工血管
などの技術要素と、
そういった様々な技術の進化、新しい可能性の発現、企業の把握すべき範囲を記載している。
未来のストーリー想定
本レポートでは、近未来に、センシングやロボティクス、バイオテクノロジー の発達とそれに伴う市場拡大が継続する人工臓器・インプラント・生体親和性材料について、
未来のトレンドとして想定し得るストーリーを記載している。