介護ロボット・生活支援ロボットは、大きく 2 つにわけられる。一つは、要介護者や障がい者、高齢者、病気療養者など(以下、要介護者)の介護や生活支援のために、ヒトが行う介護・生活支援サービスを代行するものである。もう一つは、リハビリや機能回復、生活動作の補助を行い、要介護者が自立できるよう支援するものである。いずれも、重負荷に耐えるだけでなく、優しく細やかな動きが求められる。
目次
はじめに
アスタミューゼ社のご紹介
弊社は世界の無形資産・イノベーションを可視化し 社会課題解決と未来創造を実現する、データ・アルゴリズム企業であり、
イノベーション投資の流入に加え、イノベーターの流れを機械的に分析し、データに基づいた成⻑領域を定義している。
本レポートのご紹介
アスタミューゼでは今芽吹きつつある黎明期の技術シーズや今後 10 年から 20 年 のスパンで大きく開花すると期待される初動段階の技術市場に重点を置きつつ、生活文化の中に根 付く技術にも光を当て、総じて未来を創る技術分類の網羅に取り組んできた。
このために、国内第一線の知を結集して全世界の論文・特許、国内外の国際会議やシンポジウム、展示会等の情報並びに独自ネットワークによる口コミ情報を活用し、136 の有望成長市場と、40 の 未来技術を選んだ。主にビジネス視点で策定された有望成長 136 市場を対象にしており、本レポートは、『介護/生活支援ロボット』の未来推定に特化した内容となっている。
事業会社に向けては、イノベーションに関わる経営課題を中心に戦略構築支援/実行支援を実施しており、
・自社の既存事業の優位性がいつまで続くかわからない
・既存事業の成長が踊り場にきているので、使っている技術 を別で活かせる可能性を探りたい
・既に着手している研究開発を続けるべきどうか、もしくは 自社開発ではない方法があるかを含めて検討したい
といった企業のよくあるお悩みを解決している。
介護/生活支援ロボットの現状
厚生労働省と経済産業省は移乗支援、移動支援、排せつ支援、見守り・コミュニケーション、入浴支援、介護業務支援の 6 分野の重点分野を定め、ロボットの開発・導入を支援している。
現在までに実用化されているものとしては、
1. 移乗支援では離床アシストロボット、
2. 移動支援ではロボット技術活用歩行支援機器、
3. 排せつ支援では排せつ予測デバイスや排便姿勢保持機器、
4. 見守り・ コミュニケーションでは非接触型徘徊見守りシステムやセラピーロボット、
5. 入浴支援ではリフトキャリー、
6. 介護業務支援では利用者中心の介護記録システム
などがある。
日本においては、少子高齢化の進展にあたって介護の負担が大きくなっており、介護現場での人手不足が深刻である。介護ロボット・生活支援ロボットは介護現場の負担軽減や生産性の向上につながるため、期待されているが、十分に普及しているとは言い難い。普及していない原因として、開発者目線の開発も多く、高機能だが高価格であり、安全性や性能の担保も十分ではなかったことがあげられる。国はこれらの問題点を認識し、現場のニーズを踏まえて前述の重点分野を指定し、早い段階での試作機器の介護現場での実証を支援している。厚生労働省は 2020 年 8 月より、介護ロボットの開発・実証・普及の流れを加速化することを目指して「介護ロボットの開発・実証・普及のプラットフ ォーム」を開始した。地域における相談窓口の設置、介護ロボットの評価・効果検証を実施するリビングラボ(開発の促進機関)を含む関係機関のネットワークの形成、実証フィールドの整備などを行うことで、全国にプラットフォームの構築を進める事業内容となっており、本領域の普及加速が期待される。
今後の見通し・将来性や展望
介護においてはコミュニケーションやプライバシーの保護が重要であり、ロボットの導入そのものにも抵抗感が表明されている。今後、ロボットの普及にあたっては、接触状態の検知や、要介護者が離床するときに苦痛を感じているかの検知など、高度なセンシング技術により要介護者の感情や気持ちまで考慮するなど、利用者のニーズに応えられる技術が重要となるであろう。
近未来 2030年の市場規模予測
アスタミューゼ社による『介護/生活支援ロボット』現在の世界市場規模推定と近未来の世界市場規模予測。
2022年には推定98億米ドルだったものが、2030年には749億米ドルになると予測している。
スタートアップ投資動向と投資額
介護/生活支援ロボットの2010 年から 2019 年の 10 年間における世界のグラントの資金流入額は総額 $330M である。
本レポートでは、
・世界のスタートアップ設立社数と被投資額の累計/推移
・グラント採択数と総配分額ランキング
・世界のグラント配分額上位25テーマ
・日本のグラント配分額上位25テーマ
を提供している。
現在の主要企業
本レポートでは、介護/生活支援ロボット分野において、現時点で保有する技術が総合的に優位な企業を各種特許指標から評価し、ランキング形式でリスト化して提供している。
主なプレイヤーとして、
国外では、
・B-Temia Inc.
・Samsung Electronics Co., Ltd.
などが含まれ、そういった
上位企業の保有する特許の中で、特に競争優位性が高い特許の概要と、最高エッジ指数での定量的な評価を記載している。
最新の技術開発具体例
本レポートでは、介護/生活支援ロボットにおける最新の技術開発事例を紹介している。
介護/生活支援ロボットの未来予測・将来性
未来の構成要素
本レポートでは、介護/生活支援ロボットに関連する・歩行補助装置
・介護システム
・介助ロボット
・寝たきり病人用などの身辺介護システム
・障害物回避先導ロボット
・看護介助ロボット
などの技術要素と、
そういった様々な技術の進化、新しい可能性の発現、企業の把握すべき範囲を記載している。
未来のストーリー想定
本レポートでは、近未来に、先進国を中心として、介護/生活支援ロボットが急速に普及拡大する介護/生活支援ロボットについて、
未来のトレンドとして想定し得るストーリーを記載している。