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「人工光合成」という科学者の夢を実現した産総研

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(※)この記事は2013年8月20日にastamuse「技術コラム」に掲載された内容を再構成したものです。

誰もが小学校の授業で習ったことのある「光合成」。それを模して太陽光を利用して水から水素を取り出す「人工光合成」技術がいま、日本発の次世代再生可能エネルギー技術として注目されている。

自然界の光合成は、植物が太陽光を利用して水と二酸化炭素から酸素と炭水化物を作り出すというものだ。いつかは枯渇する有限の化石燃料に対し、太陽光と水から、クリーンで安全なエネルギーを安く無尽蔵に取り出せる人工光合成は夢の技術といえる。

人類の人工光合成への挑戦は、光触媒から始まった。光触媒は光を吸収すると周囲の物質に酸化・還元反応を引き起こす物質で、エネルギーの大きな紫外線にしか反応しない。 実は太陽光の中に紫外線は4%程度しか含まれていないため、エネルギー変換効率は非常に低かった。しかし紫外線ではなく可視光で反応を起こすことは非常に難しい技術であり、これまでは実現されていなかった。

そこに大きなブレイクスルーをもたらしたのが、植物の光化学反応に倣い2段階で触媒反応を進めるという方法で、2001年12月、独立行政法人産業技術総合研究所(以下「産総研」)は「人工光合成システムで可視光による水の完全分解に世界で初めて成功」という快挙を成し遂げた。

産総研ではすでにこの分野において、光電極を用いた水分解による水素製造の世界最高効率を達成している。無尽蔵のクリーンエネルギーを取り出せる人工光合成という科学者の夢を、日本発の技術がリードし続けているといえるだろう。

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