1880 年代、米国では、送電事業をエジソンが推した直流で行うか、ニコラ・テスラが提案する交流で行うかについて、電流戦争（War of Currents）と呼ばれる激しい論争があった。結果、変圧器で電圧の降下が可能な交流に比べて、抵抗器を用いる直流は効率の点で劣るため、周知の通り交流送電が一般的とされて現在に至っている。パワー半導体とは、電力をコントロールする半導体を指す。家電、コンピュータ、自動車、鉄道などあらゆる機器において、主に整流回路やレギュレータで利用されている。電圧や交流の周波数を変えるほか、交流から直流へ、あるいはその逆への変換をすることができる。
目次
はじめに
アスタミューゼ社のご紹介
弊社は世界の無形資産・イノベーションを可視化し 社会課題解決と未来創造を実現する、データ・アルゴリズム企業であり、
イノベーション投資の流入に加え、イノベーターの流れを機械的に分析し、データに基づいた成⻑領域を定義している。
本レポートのご紹介
アスタミューゼでは今芽吹きつつある黎明期の技術シーズや今後 10 年から 20 年 のスパンで大きく開花すると期待される初動段階の技術市場に重点を置きつつ、生活文化の中に根 付く技術にも光を当て、総じて未来を創る技術分類の網羅に取り組んできた。
このために、国内第一線の知を結集して全世界の論文・特許、国内外の国際会議やシンポジウム、展示会等の情報並びに独自ネットワークによる口コミ情報を活用し、136 の有望成長市場と、40 の 未来技術を選んだ。主にビジネス視点で策定された有望成長 136 市場を対象にしており、本レポートは、『パワー半導体』の未来推定に特化した内容となっている。
事業会社に向けては、イノベーションに関わる経営課題を中心に戦略構築支援/実行支援を実施しており、
・自社の既存事業の優位性がいつまで続くかわからない
・既存事業の成長が踊り場にきているので、使っている技術 を別で活かせる可能性を探りたい
・既に着手している研究開発を続けるべきどうか、もしくは 自社開発ではない方法があるかを含めて検討したい
といった企業のよくあるお悩みを解決している。
パワー半導体の現状
パワー半導体を用いて、交直流の電力変換が小型・低コストの装置で効率よく行えるようになれば、例えば太陽光発電と家庭用蓄電池の組み合わせによる電力供給を勘案すると、家庭内の給電は直流に移行したほうが効率的との意見もある。
スマホから電車まで、半導体はあらゆる電子デバイスに用いられていることから、その高効率化が直接省エネにつながる。また、近年、再生可能エネルギーの電源に占める位置が大きくなってきているが、安定的な送電を実現させるためには、蓄電池と併用して、余剰の発電を蓄え、不足時は放電する運用が不可欠になる。そのために、蓄電池へ充放電するための交直流変換を効率よく行う必要があり、パワー半導体の活用は環境問題の観点からも重要である。
パワー半導体の高電圧、大電流への耐久性や電力変換効率は飛躍的に向上している。パワー半導体の材料としては主にケイ素が使われてきたが、これを炭化ケイ素（SiC）、あるいは窒化ガリウム（GaN） に変えることで、さらなる電力損失の低減と小型化が見込まれる。
今後の見通し・将来性や展望
電力変換の機能だけに特化したパワーディスクリートでは、 IC（集積回路）や LSI（大規模集積回 路）などの複雑な半導体とは異なり、省エネのニーズに対応する実績や技術をもつ日本のメーカーが、 世界的にも競争力を維持している状況にある。今後の展望として、特に中国において電力エネルギー需要が増大を続けており、電力使用の効率向上を図る上でパワー半導体デバイスを用いた機器の利用が拡大することが見込まれる。現時点では、半導体事業の中で日本のメーカーが強みを持つ分野であるが、今後は中国国内の事業者と、日、米、欧ほかさまざまな地域の企業が中国で激しい競争を繰り広げる可能性が高く、この分野で競争力を維持するために、積極的な技術開発と市場の分析が望まれる。
近未来 2030年の市場規模予測
アスタミューゼ社による『パワー半導体』現在の世界市場規模推定と近未来の世界市場規模予測。
2022年には推定335億米ドルだったものが、2030年には483億米ドル になると予測している。
スタートアップ投資動向と投資額
パワー半導体の2010 年から 2019 年の 10 年間における世界のグラントの資金流入額は総額 $550M である。
本レポートでは、
・世界のスタートアップ設立社数と被投資額の累計/推移
・グラント採択数と総配分額ランキング
・世界のグラント配分額上位25テーマ
・日本のグラント配分額上位25テーマ
を提供している。
現在の主要企業
本レポートでは、パワー半導体分野において、現時点で保有する技術が総合的に優位な企業を各種特許指標から評価し、ランキング形式でリスト化して提供している。
主なプレイヤーとして、
国外では、
・Infineon Technologies
・Alpha & Omega Semiconductor
国内では、
・三菱電機株式会社
などが含まれ、そういった
上位企業の保有する特許の中で、特に競争優位性が高い特許の概要と、最高エッジ指数での定量的な評価を記載している。
最新の技術開発具体例
本レポートでは、パワー半導体における最新の技術開発事例を紹介している。
パワー半導体の未来予測・将来性
未来の構成要素
本レポートでは、パワー半導体に関連する・整流回路（AC-DC コンバータ）
・レギュレータ（DC-DC コンバータ）
・超高耐圧パワー素子
・IGBT （insulated gate bipolar transistor）
・MOSFET（metal oxide siliconfield effect transistor）
などの技術要素と、
そういった様々な技術の進化、新しい可能性の発現、企業の把握すべき範囲を記載している。
未来のストーリー想定
本レポートでは、近未来に、不規則な変動電源に高速対応が可能なスイッチング素子特性をもち、かつ 低コストなパワー半導体が実用化し、再生可能エネルギー等の変換に用いられるパワー半導体について、
未来のトレンドとして想定し得るストーリーを記載している。
おわりに
本レポートの目次
会社概要
