2015.09.30 WED 「インテリジェントスポーツ・スマートスポーツ」市場とは?
text by : | 編集部 |
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photo : | shutterstock.com |
astavisionが企業・特許情報のビッグデータ分析により、今後成長が見込まれる市場を分類した「2025年の成長市場」。近日公開予定の「インテリジェントスポーツ・スマートスポーツ」市場コンテンツについて、その一部をプレビューする。
スポーツの世界にも、ウェアラブル&ユビキタス、そしてIoT、ビッグデータという時代の波は押し寄せている。
2003年に米国で優先出願した「移動式生理学的モニタリングからのデータを処理する方法及びシステム」という生体情報センシングに関する特許(日本では特許5466351と特許5529796など)を保有するアディダス社は、アスリートの生体情報記録を解析することで、効果的なトレーニング方法の開発やゲーム戦略策定に役立てるスマートスポーツ構想を早くから温めていた。呼吸量や加速度、心電・心拍(ECG)はもとより、脳波(EEG)、筋電(EMG)、電気眼球図(EOG)、皮膚コンダクタンス、超音波など、多重パラメータによるモニタリング(MPM)を行うもので、現在、『miCoach』という製品・サービスをグローバル展開している。
バンドタイプのECG、靴や衣服に装着する加速度センサの併用による活動度測定、PC・スマートフォンへのデータ転送、プラットフォームアプリによるデータ解析、コーチング(運動のアドバイス)が主な機能。シューズに装着するタイプでは、ゲーム中やトレーニング中の走行時間・走行距離・スピード・スプリント回数を計測。ワイヤレスでiPhoneやPCに送信し、データを客観的に把握できる。さらに、知財の中で、現在の 『miCoach』 に使われていない脳波などのセンサもあることから、今後はスポーツのみにとどまらず、メンタルヘルスケアやリハビリへの対応など、より広い分野への展開の可能性もある。 アディダス社は、 2012 Half Year Report の中でも、『miCoach』を用いた「スマートフットボール」の創出を企てると述べている。最近では、3軸加速度センサ、リチウムイオン二次電池、Bluetoothなどを搭載したサッカーボール、『miCoach SMART BALL』を発売するなど、スポーツ分野における生体センサ利用の牽引役を担っている。
同様の試みは、フィンランドのPolar Electro Oy にも見られる。同社は1977年創業、加速度センサやECG、GPS を組み込んだスタイリッシュなリストウォッチタイプのウェアラブルスポーツセンサの専門企業で、事業分野はスポーツ、フィットネス、アウトドアに集中している。専用解析ソフトによるスマートコーチング(トレーニングの計画、評価分析、ログなど)、ウェブサイト上でのトレーニング情報の提供など、スポーツのスマート化に注力している。ログデータを専用SNSでシェアできる点もユニークだ。
一方、エウレカコンピュータ社(埼玉県戸田市)では、コンピュータゲームを実空間に展開、スポーツのIT化・ソーシャル化を実現する e-Sports に取り組んでいる。これは室内にサーカー場やケンケン跳びゲームなどの仮想グラウンドを生成し、コンピュータプログラムによるインタラクティブなバーチャルゲームを、人間自身が実際に身体を動かして、仮想グラウンド上で演じるものだ。赤外線センサとキネクトカメラ、プロジェクタ各1台ずつでARグラウンド(6m*4m)を4分割した1象限を生成。4つの象限すべてを生成するにはセンサとカメラ、プロジェクタ各4台ずつが必要となる。人間の動きに応じて、プログラムがボールや図形をグラウンド上に投影し、それをプレーヤが蹴ったり跳んだりすると、また、プログラムがボールや図形を動かし、ゲームを進行させる。複数プレーヤによる対戦も可能だ。速度・加速度・運動量等を定量化することで、トレーニング、フィットネス、リハビリ、脳トレなどに発展可能と思われる。
このように、インテリジェントスポーツ・スマートスポーツは、MEMSセンサによる生体センシングをベース技術としながら、VR・ARと融合することで、エンタメや脳トレなど、様々な分野への展開も考えられる。
さらに、2020年の東京オリンピックを機に、スポーツのICTソリューションが本格的に動き出すと期待される。
近日公開予定の「インテリジェントスポーツ・スマートスポーツ」市場コンテンツでは、この市場のグローバル市場規模や最新技術、活躍できる職種などを紹介する。
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