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「機能性食品/飲料」市場における科研費獲得金額ランキングTOP50

text by : 編集部
photo   : shutterstock

どのようなテーマが共感を呼び、どのような形で投資を集めているのか、世界中の特許/論文、科学技術研究費、ベンチャー投資、クラウドファンディング情報などを集め、独自に分析する本企画。今回は、180の有望成長市場のうちの87番目である「87. 機能性食品/飲料」市場における大学・研究機関別の科研費獲得金額ランキングを発表、さらに注目すべき研究テーマを紹介する。


 

■全大学/研究機関540、4461テーマ中、「87. 機能性食品/飲料」市場における大学・研究機関別(※1)の科研費獲得金額ランキングTOP50(※2)
(※1)研究代表者が所属する大学・研究機関
(※2) 2006~2015年の交付分。2016年2月時点でデータ取得

科研費×機能性食品

 

■注目すべき研究テーマをご紹介
(※)敬称略

「ミトコンドリア機能による老化調節機構の解明と抗老化食物質の探索」(東京大学 田之倉優教授 他/2億1619万円)
老化のシステムを単純化して研究するための優れたモデルシステムである加齢性難聴に関し、聴覚の老化過程においてミトコンドリアのアポトーシス促進因子Bakや脱アセチル化酵素Sirt3が関わる聴覚細胞のアポトーシスの調節に焦点を当て、その分子機構の解明を目指す。さらに、この分子機構で中心的にはたらくSirt3や他の調節因子を標的とした機能性食物質を探索し、その老化遅延効果の評価を行う。

「酸素や食物が内包する毒性に対する細胞の適応・応答の分子機構の解明」(東北大学 山本雅之教授 他/5億1857万円 )
酸化ストレスや異物のセンサとして働く分子Keap1の機能を構造学的手法で解析し、さらに、マウス個体を用いた機能性評価、およびストレス感知機構と疾患との関連を検証することにより、ストレス感知の新たな分子機構、疾患との関連を明らかにした。摂取している食物や酸素の内包する毒性はDNA損傷を引き起こすことから、癌や老化に深く関与することがこれまで示唆されてきたが、この分子的なメカニズムの理解が進むことにより、癌や老化を予防する新たな機能性食品の開発が進展すると期待される。

「ポリフェノール類の機能性と安全性評価のための標的分子の解析」(徳島大学 河合慶親助教 他/2379万円)
食品中に幅広く含まれ、動脈硬化、癌、糖尿病などの生活習慣病やアルツハイマー病などの神経変性疾患など、様々な疾病に対して予防効果が期待されているポリフェノール類について、その生体内における特異的な標的部位、標的分子の解析を行うことで、生体内での機能性発現機構と安全性を評価するための基礎を構築することを目指す。

 

■「87. 機能性食品/飲料」市場について

必須栄養素には含まれない化学成分で、適量摂取することで健康増進に効果を発揮することが期待される機能性成分として、食物繊維、ポリフェノール、カロテノイドなどが知られている。これらを含む食品は、一般に機能性食品と呼ばれたり、健康食品と総称されることがある。現状、機能性食品や健康食品という概念自体に法的な定めはないが、近年、機能性表示食品制度やトクホが定められるなど、そのエビデンスを明確にしようという動きが活発化してきている。

現在フェーズでは成長中、近未来フェーズ(5-10年以内)では成長継続中でエビデンスベースドの食文化へと移行、未来フェーズ(10年以上)ではさらなる成長が期待されている。

主な技術要素としては生体調節機能(生体制御・疾病の防止・疾秒の回復・体調リズムの調整・老化抑制)などがあり、主な技術・製品・サービスの例としては、「食後血統上昇を抑制する高アミノロース米」や「テーラーメイド機能性弁当の効果実証および供給システム開発」などがある。

また、この市場の主なプレイヤーとしては、ネステク、サントリー、東洋新薬、味の素、カネカなどがあり、180の有望成長市場における主な関連市場としては、「84. 食品安全モニタ/トレーサビリティ」「85. ブランド作物」「99. 化学農薬・生物農薬」などがある。

astavisionでは、この市場の2015年世界市場規模を167億米ドルと推定、2025年世界市場規模を1032億米ドルと予想している。


 

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