2015.12.17 THU シリコンバレー・NY・ベルリン・日本のベンチャー情報を発信~HIP Meet Up Night in Tokyo 2015 レポート~
text by : | 編集部 |
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photo : | 編集部 |
12月10日、東京・虎ノ門ヒルズで行われた「HIP Meet Up Night in Tokyo 2015」。「日本再興戦略 改訂2015―未来への投資・生産性革命」が閣議決定され、ベンチャー創造の好循環の確立、シリコンバレーと日本の架け橋プロジェクト、グローバルなベンチャーエコシステムとの連動等の施策が発表されたことを受けて開催されたこのイベントでは、シリコンバレー、NY、ベルリンのスタートアップシーンに関する講演が行われた。
■講演「シリコンバレーの今」
Keith Teare氏(Founder at Chat Center, Partner at Archimedes Labs, Co-founder at TechCrunch)
平石郁生氏(株式会社サンブリッジ グローバルベンチャーズ 代表取締役社長)
90年代にロンドンでCYBERIA、Easynet、Real NamesなどのIT企業を設立したのちNYに移り、TechCrunchを立ち上げたTeare氏は、シリコンバレーの最近の変化について「“アイデア”に金を出すのではなく“成長”に金を出す流れになった」とコメントした。
「シリコンバレーではユニコーン(未上場でも評価額が10億ドル以上の企業)がポートフォリオに入っていないと投資家として成功しているとは言えません。また、ベンチャー企業側もアイデアだけではだめで、ユニコーンになり得ると思わせる必要があります。みんな“Emerging Unicorn”が見たいのです」(Teare氏)
また、成長段階、シード段階の企業に対する投資には好意的だが、PMF(プロダクト・マーケット・フィット)前のベンチャーに投資するVCは10~12社程度しかないことについても言及された。
「英語という障壁を持つ日本人にとって、グローバルになることは容易ではありません。次のソニーが生まれるのに必要なことは?」という平石氏からの問いかけに対してTeare氏は「中国では、マネージャークラスなどビジネスにおいて重要なポジションを担う人たちは英語が使えるし、それは日本でもそうです。でもスタートアップはそういうところからは生まれません。ボトムアップで生まれるものです。ただし、メンターやロールモデルといったものはあったほうが良いでしょう」と答えた。
「自然ななりゆき以外のことは出来ないと思います。ロンドンがシリコンバレーになることは出来ません。日本にはクリエイティブな人が多く、ビジュアル・デザイン・プレゼンテーション・エクスペリエンスといった分野で他にないものを持っています。そういう意味では、フランスやイタリアと近いかもしれません。ただ、リスクを取りたがらない、という伝統があるように思います。経済的な豊かさを、チャンスに賭けてほしいと思います」(Teare氏)
■講演「NY・ベルリンのベンチャー事情及び各社の事業展開」
Sabrina Dridje氏(Made in NY Media Center by IFP Director)
「Made in NY」はニューヨーク市長直轄のメディア関連部署が行っている文化振興キャンペーンで、Made in NY Media Centerは映画業界の団体であるIFP(The Independent Filmmaker Project)によって運営されている。このプロジェクトにはverizonやHEARSTなどが参画し、ビジネスマッチングやハッカソンなどを行い、新しいビジネスを生み出しているという。
Erez Galonska氏(INFARM Gmbh Founder & CEO)
INFARMは垂直農業を可能にする小型の菜園キット「Microgarden」を開発し、農業を「サービス」として提供するベルリン発のスタートアップだ。Galonska氏自身はイスラエル出身だが、自然に恵まれアーティスティックな面もあるベルリンを起業の地に選び、市内の倉庫を改装して室内栽培を行っている。ベルリンには20分に1社が生まれるというスタートアップの盛んな土壌があるという。
講演後は日本発ベンチャー8社によるピッチが行われ、ookamiのライブ共有型ニュースアプリ「PLAYER」、Lang-8の外国語学習者のためのQ&Aサービス「HiNative」、MOBILOUSのスマホアプリ開発プラットフォーム「APPEXE」、アプリのアナリティクスツール「Repro」、予約管理システムの「Coubic」、mobilusのOEM型メッセージングシステム「KONNECT」、旅行体験共有アプリの「Anchorup」、生体認証検索エンジン「Liquid」がそれぞれのサービスをアピールした。
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