2015.04.27 MON (後編)サッカー ブラジルW杯で世界のトッププレイヤーが履いたスパイクの秘密を分析
text by : | 編集部 |
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photo : | shutterstock.com |
(※)この記事は2014年6月10日にastamuse「技術コラム」に掲載された内容を再構成したものです。
本コラム前篇で日米欧3極での知財分析を俯瞰してみたが、結果的にアディダス社の技術的優位性が浮かび上がってきた。
スマートスポーツ分野の開拓がアディダス社の強み
アディダス社の主力製品は、シューズに代表されるフットウェア、スポーツウェアなどのアパレル、アクセサリなどのハードウェアに分かれ、ハードウェアの中にはスポーツに焦点を当てたウェアラブルセンサ「MiCoach」 シリーズが含まれる。
中でも特筆すべきは、センサによるスピードやリズム、運動量、消費カロリなどの解析により、ゲームやトレーニングの戦略を策定するスマートスポーツを提唱している点だ。
2003年に米国出願した多重パラメータモニタリング(MPM)による統合型生体情報センサ特許をベースに、スマートスポーツ分野を開拓してきたアディダス社。今回の知財分析でも、アディダスの高スコア特許の中に、スマートスポーツ関連技術が散見されていた。(欧州特許EP1457128 B1” Intelligent footwear and method for modifying a performance characteristic of an article of footwear”など)
2012 Half Year Report の中でも、MiCoachを用いたスマートフットボールの創出を企てると述べており、こうした先端技術を絡めたスポーツ事業の展開が、アディダス社の優位性の源泉となっていると考えられる。
FIFA Partnersであり、メッシ、スアレス、ファンペルシー、エジル、シャビ、ランパードなど各国を代表する一流プレイヤーが認め、ライセンス契約を結ぶアディダス社の強みは、こうした最新技術への飽くなき取り組みの結晶ともいえるだろう。
一方、ナイキ社でも注目すべき技術がある。
独特の形状をしたナイキ社のスパイク
サッカーの試合を視聴している方の中には、レアルマドリード所属でポルトガル代表のC・ロナウド選手や、インテル所属で日本代表の長友選手が「足首まで覆う独特の形をしたスパイク」を履いていることに気づいた方もいるのではないだろうか。
米国公開特許US2014137433 A1
”Footwear Upper Incorporating A Knitted Component With Collar And Throat Portions
米国公開特許US2014137434 A1
”Footwear Upper Incorporating A Knitted Component With Sock And Tongue Portions
無回転フリーキックを打つためのスパイク
そして、セリエAのACミランで背番号10を付けている日本代表の本田圭祐選手。
彼の代名詞ともいえるのが、前回のW杯南アフリカ大会グループリーグ デンマーク戦で放った「無回転フリーキック」だ。日本代表の勝利を呼び寄せ、彼が一躍脚光を浴びたこの無回転シュートにも、本人の技術のみならずmizuno社の最新技術が影響を与えている。
それは一般のプレーヤーでも容易に無回転シュートを蹴ることができるようになるアッパー(シューズの甲の部分)構造に関する特許である。
フットボールシューズ用アッパー構造
(日本国特許第4886922号「フットボールシューズ用アッパー構造」、欧州およびブラジル特許庁に出願移行済み)
一流選手の才能と努力によって培われた技術と、一流メーカーのあくなき研究が生み出した最新技術の融合が、全世界の視聴者を熱狂させるあのスーパープレイの数々に繋がっている。
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