地熱発電とは、火山性の地熱地帯において地下深部に存在する高温の熱水(地熱流体)を、井戸を掘削して地熱貯留層から取り出し、地上に上がってくる蒸気でタービンを回転させることによって発電するシステムのことである。
目次
はじめに
アスタミューゼ社のご紹介
弊社は世界の無形資産・イノベーションを可視化し 社会課題解決と未来創造を実現する、データ・アルゴリズム企業であり、
イノベーション投資の流入に加え、イノベーターの流れを機械的に分析し、データに基づいた成⻑領域を定義している。
本レポートのご紹介
アスタミューゼでは今芽吹きつつある黎明期の技術シーズや今後 10 年から 20 年 のスパンで大きく開花すると期待される初動段階の技術市場に重点を置きつつ、生活文化の中に根 付く技術にも光を当て、総じて未来を創る技術分類の網羅に取り組んできた。
このために、国内第一線の知を結集して全世界の論文・特許、国内外の国際会議やシンポジウム、展示会等の情報並びに独自ネットワークによる口コミ情報を活用し、136 の有望成長市場と、40 の 未来技術を選んだ。主にビジネス視点で策定された有望成長 136 市場を対象にしており、本レポートは、『地熱発電』の未来推定に特化した内容となっている。
事業会社に向けては、イノベーションに関わる経営課題を中心に戦略構築支援/実行支援を実施しており、
・自社の既存事業の優位性がいつまで続くかわからない
・既存事業の成長が踊り場にきているので、使っている技術 を別で活かせる可能性を探りたい
・既に着手している研究開発を続けるべきどうか、もしくは 自社開発ではない方法があるかを含めて検討したい
といった企業のよくあるお悩みを解決している。
地熱発電の現状
環太平洋火山帯地域をはじめ、地熱資源量の多い国々で導入されており、2020 年の発電容量上位は、アメリカ、インドネシア、フィリピン、トルコ、ケニアの順となっている。
地熱発電は、昼夜を問わず稼働可能で、天候や季節による変動がなく安定しており、温室効果ガスを排出しないクリーンなエネルギー源となっている。また、設備利用率が高く、電力価格が燃料費 に依存せず、他の再生可能エネルギーと比べて発電コストが低いなど経済性に優れており、発電後の 熱水を暖房の熱源や温水施設の給湯に多段階利用できるなど、多くのメリットを有する。
日本の地熱発電は、戦後のエネルギー需要への対応策として 1947 年に地熱開発技術委員会が設立され、電気事業者が調査を開始したのが端緒で、1966 年にわが国初の地熱発電所である松川地熱発 電所が完成した。以来、50 年以上にわたる地熱発電の歴史があり、日本は高い地熱発電技術を保有している。特に、地熱発電用タービンは、熱水に含まれる硫化水素に対する防食技術やタービンブレードの精密加工・取付など高度な技術が必要で、日本企業は海外メーカーに対する優位性が高く、東芝、富士電機、三菱日立パワーシステムズの 3 社で世界シェアの約 7 割を占めている状況である。
今後の見通し・将来性や展望
このような技術的な優位性と、地熱資源量世界 3 位という恵まれた条件ながら、日本の地熱発電量 は世界第9位(20 年)となっている。これは、地熱資源の調査開始から運転開始まで長いリードタイムが必要で、十分な熱資源が得られず開発が終わるリスクや、蒸気や熱水の需給バランスが取れず 減衰するリスクがあり、熱資源が国立公園や温泉地内にあり社会受容性が求められる場合もあるという地熱発電特有の課題によって、開発が進まず、2000 年以降新規導入が停滞していたためである。
しかしながら、2012 年の固定価格買取制度(Feed-in Tariff, FIT 制度)導入を機に、新規認定設備 が増加した。2014 年 4 月に閣議決定された「エネルギー基本計画」において、地熱発電は自然条件 によらず安定的に運用可能なベースロード電源を担いうるエネルギー源と位置付けられており、今 後一層の推進が望まれている。
近未来 2030年の市場規模予測
アスタミューゼ社による『地熱発電』現在の世界市場規模推定と近未来の世界市場規模予測。
2022年には推定323億米ドルだったものが、2030年には559億米ドルになると予測している。
スタートアップ投資動向と投資額
地熱発電の2010 年から 2019 年の 10 年間における世界のグラントの資金流入額は総額 $120M である。
本レポートでは、
・世界のスタートアップ設立社数と被投資額の累計/推移
・グラント採択数と総配分額ランキング
・世界のグラント配分額上位25テーマ
・日本のグラント配分額上位25テーマ
を提供している。
現在の主要企業
本レポートでは、地熱発電分野において、現時点で保有する技術が総合的に優位な企業を各種特許指標から評価し、ランキング形式でリスト化して提供している。
主なプレイヤーとして、
国外では、
・Korea Institute of Science & Technology Information
・General Electric Company
国内では、
・株式会社東芝
などが含まれ、そういった
上位企業の保有する特許の中で、特に競争優位性が高い特許の概要と、最高エッジ指数での定量的な評価を記載している。
最新の技術開発具体例
本レポートでは、地熱発電における最新の技術開発事例を紹介している。
地熱発電の未来予測・将来性
未来の構成要素
本レポートでは、地熱発電に関連する・ドライスチーム方式
・フラッシュ方式
・デュアルフラッシュ方式
・バイナリ方式
・ハイブリッド方式
・EGS 方式 (Enhanced Geothermal System)
・地熱貯留層
などの技術要素と、
そういった様々な技術の進化、新しい可能性の発現、企業の把握すべき範囲を記載している。
未来のストーリー想定
本レポートでは、近未来に、世界的な脱炭素化の流れに伴う再エネ価値の更なる高まりにより、地熱発電開発が加速する地熱発電について、
未来のトレンドとして想定し得るストーリーを記載している。