2015.12.08 TUE 大田区・モンゴルなど自治体・海外からの出展に注目~2015国際ロボット展 レポート~
text by : | 編集部 |
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photo : | 編集部 |
12月2日から5日までの4日間、東京ビッグサイトで開催された「2015国際ロボット展」。海外からの来場者も多く、4日間で121,422人を集める大盛況のうちに幕を閉じた。
大手メーカーや大学・研究機関はもちろんのこと、厚木市やつくば市、豊橋市といった自治体や、台湾・韓国・英国といった海外からの出展も目立った今回の国際ロボット展。そこでastavisionでは『下町ロケット』でも注目される「ものづくりの町」東京・大田区と、「草原」や「遊牧民」といったイメージが強いが、実はモンゴル工科大学を中心に理工系の優秀な人材を輩出しているモンゴルから出展しているイノベーターたちに話を聞いた。
■生活支援用 直動伸縮ロボットアーム
川渕一郎さん(株式会社 川渕機械技術研究所 代表取締役)
今回、公益財団法人 大田区産業振興協会として出展したブース内でロボットアームのデモンストレーションを行った川渕機械技術研究所は、大田区にありながらいわゆる「町工場」ではないファブレス(工場を持たず、企画・設計などに経営資源を集中させるビジネスモデル)企業だ。
今回出展していた「生活支援用 直動伸縮ロボットアーム 2015」は、高齢者や障がい者に対して、飲食など軽作業のサポートを行うものだが、同目的の他のロボットには無い伸縮するアーム機構や、肘関節を持たないことにより肘関節が周囲のものを挟み込む危険性が少ない、などの特長がある。全世界展開を目指し、欧米での特許取得も進んでいるという。
―「ものづくりの町」として注目される大田区ですが、そのエコシステムについてどのようにお考えですか?
これまではお互いに顔の見えるところで一緒にやっている、というのが大田区のエコシステムの価値だったと思います。しかしインターネットや宅配システムの発達で、世界中のどこにいても注文できて、商品を受け取ることのできる世の中になってくると、エコシステムの価値というものも変わってくるのではないでしょうか。
実際、神奈川県相模原市のようなところでは、大規模な工場で生産することで低コストを実現しており、こういった郊外型プラントが中心になっていく流れがあると思います。
―そういった潮流の中で、大田区が生き残る道とは何でしょうか?
ひとつには「ブランド力」が挙げられると思います。たとえばAppleのような企業は、実際には鴻海からEMS供給を受けてiPhoneを作っているわけですが、世界中の人たちがiPhoneといえばApple、と思っているわけです。そういう意味で、ロボットのような目に見えるわかりやすい先端技術はブランド力を築く突破口になるのではないかと考えています。
もうひとつは、インテグレート(統合)する力、です。高い付加価値を生み出すには、様々な要素を組み合わせてインテグレートする力が求められます。しかしこれをやろうと思うと膨大な人件費がかかったり、組織を大きくする必要があったりで、結局あきらめてしまい、日々の仕事をまわすだけになってしまう。こういった状況を改善するためには、もう少しフリーランス的な、インテグレートする力を持った人材がいてもいいのではないかと思っています。
■オープンソース・ロボット開発プラットフォーム「Byparo」
PEI YACHAOさん(内モンゴル小甲虫テクノロジー CEO)
内モンゴルから電気通信大学に留学中のPEIさんは2年間の準備期間を経て今年、内モンゴル小甲中テクノロジーを立ち上げた。今回出展している「Byparo」は、ハードウェア・ソフトウェア共にファイルをダウンロードして3Dプリンターで印刷するだけでロボットを開発することのできる開発者用のプラットフォームだ。
―今回のイベントでは、どのような企業の方とお話されましたか?
いろいろな所からお声がけいただきましたが、私自身が特に興味を持っているのは、中国の貿易関連の会社です。3Dプリンターでロボットを簡単に作ることができるといっても、世界中の誰もが3Dプリンターを持っているというわけではないので、世界中に「Byparo」で作ったロボットを輸出してくれるような企業がパートナーになってくれればと思っています。
―今後の展開はどのように考えていますか?
クラウドファンディングサイトの「INDIEGOGO」で資金を募り、改良を加えた上で、「Byparo」によるロボットの量産を目指しています。当面の目標は1000台です。
大掛かりななデモンストレーションが注目を集めた産業ロボットに加え、コミュニケーションや生活支援を主体としたサービスロボットの隆盛が目立った今回の国際ロボット展。astavisionでは今後「介護ロボット・生活支援ロボット」「コミュニケーションロボット」などのロボット関連市場コンテンツを公開予定だ。
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