Interview

福岡市長・高島宗一郎氏インタビュー~福岡市に学ぶイノベーションが生まれる「場」のつくり方~

text by : 編集部
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高島市長2

4月24日に東京・お台場で開催されたフィンランド発のスタートアップ・イベント『SLUSH ASIA』。アジアでは初の開催ながら約3000人が来場する大盛況のイベントとなった。今回のイベントには、日本を代表するビジョナリーやベンチャー企業だけではなく、自治体からの参加もあった。「スタートアップ都市」として躍進を続ける福岡市からSpeakerとして登壇した福岡市長・高島宗一郎氏に話を聞いた。

 

―最近、Uberの実証実験など、イノベーションに関するBuzzが福岡から発信されることが増えてきています。今回の『SLUSH ASIA』のFacebookグループでも、福岡メンバーの発信が目立っていました。

会場にも「福岡から来ました!」という学生が沢山いますね。福岡の強みとしては、ストレスフリーで住みやすい、生活コストが安い、理工系の学生が多いなどの点が挙げられますが、これまでそれを経済と結び付けられるソリューションがありませんでした。ところがシアトルに出張に行ったときに、ついに見つけたのです。それが「スタートアップ」です。シアトルの人口は福岡市の約半分ですが、それでもアマゾンやスターバックスといった企業が生まれている。その理由は、住みやすくストレスフリーな環境にあるということがわかったのです。

そうして3年前に、孫泰蔵さん(Mistletoe株式会社CEOで『SLUSH ASIA』の中心メンバー)たちと「スタートアップ都市・ふくおか」宣言をしました。さらに、国家戦略特区にも指定され、「スタートアップカフェ」というプラットフォームも出来て、若い人たちがつながり始めました。

それまでスタートアップやベンチャーというと、どこか本流ではない、傍流というイメージがありましたが、若い人たちのマインドが変わりはじめ、「自分たちこそが主役なのだ」という自信を持つようになっています。だから今回の『SLUSH ASIA』でも、東京のイベントにお邪魔する、という感覚ではなく、自分たちが引っ張っていくんだ、という気持ちで来ているのだと思います。

ところで、このイベントが一般的な国際会議場のようなところでの開催でもよかったのかというと、そうではないんですね。会場内での派手なレーザー光線や、ドームの天井にロゴを映すような演出に何の意味があるのかと疑問に思う人もいるかもしれませんが、「この場所にいる自分はクールだ」と思えること、そういうマインドが生まれることが大事なのです。

舞台裏でバッタリ会ったゲーム音楽アーティストのサカモト教授と2ショット

舞台裏でバッタリ会ったゲーム音楽アーティストのサカモト教授と2ショット

 

―スタートアップシーンが活況を呈する一方で、4月14日に福岡市とNTTが締結した、ICT活用に関する包括連携協定のように、大企業による「実証実験都市」としての側面にも注目が集まり始めていますね。

まず、福岡市がテストマーケティングに極めて適切な都市である、ということが理由にあると思います。メガシティではなく、グリップできるくらいのサイズ感であり、都市機能が集約されたコンパクトシティです。それでいてそれなりのマーケット規模があります。

そしてわれわれ行政も、福岡市を、先行モデルをつくるためのフィールドとして使ってもらえるよう働きかけています。その背景として、先端的な技術やベンチャーにとって、政治との関係が重要である、ということがあります。どんなに先端的な技術が開発されたとしても、それがすぐに商品化されるわけではありません。そこには既存の規制という障壁があり、その規制を決めるのは政治なのです。福岡市が「創業特区」を掲げているのも、国家としての”deregulation”(規制緩和)を、ここ福岡市から実現していきたいと考えているからです。

 

―今後は大企業×ベンチャーによるオープンイノベーションも起こっていくのでしょうか?

すでにそういった取り組みは始まっています。昨年の4月に「イノベーションスタジオ福岡」を設立したのですが、そこでは産学官民がひとつになって、社会の問題点を抽出し、解決策を考えてビジネスプランを作り、事業化するというプロジェクトを実施しています。花王やコクヨといった大企業も、ベンチャーも、高校生もお年寄りも参加できるオープンイノベーションの仕組み作りに市を挙げて取り組んでいるところです。

「イノベーションスタジオ福岡」はコペンハーゲンにあるデンマークデザインセンターと連携した活動を進めており、同じスキーム、同じスパンでプロジェクトを実施し、その成果を共有しています。

また、九州大学の近くにある「産学連携交流センター」には、大学の研究室と企業がひとつ屋根の下に入居しています。企業のニーズをいかに研究に反映させるか、最先端の研究の成果をいかに商品化に結び付けるかということを重視し、その距離を縮めようとしています。さらに、今年3月には、理化学研究所、九州大学、福岡市の三者で、「地方発イノベーション創出に向けた連携に関する協定」を締結しました。

 

―それでは最後に、次回の『SLUSH ASIA』がもし福岡市で開催されるとしたら、どのようなメリットがあるか教えてください。

『SLUSH ASIA』というからには、アジア各国から若者が来て、その中で英語が公用語として使用される、というのが本来あるべき姿ではないでしょうか。その点、福岡は圧倒的にアジア各国からのアクセスが良い場所です。また、福岡には韓国、香港、シンガポール、タイとの間にLCCも発着しており、低コストでの来場が可能です。

また、もう一つ大きなメリットとして挙げられるのが、福岡市で開催する場合は、行政が全面的にバックアップするという点です。

ぜひアジア中の若者に、福岡というイノベーションを生み出す場所で、「スタートアップはかっこいいんだ。自分たちこそが”成長”なんだ」というマインドセットをしてもらいたいと思っています。

 

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