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「リモートセンシング」市場とは?

text by : 編集部
photo   : JAXA

astavisionが企業・特許情報のビッグデータ分析により、今後成長が見込まれる市場を分類した「2025年の成長市場」。近日公開予定の「リモートセンシング」市場コンテンツについて、その一部をプレビューする。


 

人工衛星による測位システムは、地殻変動の監視から測地・測量、天気予報、カーナビやケータイによる道案内、ロボットの制御、ネットワークの時刻同期まで幅広く利用され、われわれの生活に欠かせない存在だ。

中でも、準天頂衛星システムは、日本で常に天頂付近に1機の衛星が見えるように、複数の軌道面にそれぞれ配置された衛星を組合せて利用する衛星群システムで、その軌道は、軌道傾斜角(赤道面からの軌道面の傾き)を持って、地球の自転と同じ周期で地球を回る。衛星が常に天頂方向にあるため、山やビル等にほぼ影響されない。2018年にはGPSと一体運用可能な準天頂衛星システム「みちびき」が4機体制になり、ますます高精度の位置情報がいつでもどこでも利用できるようになる。

リモートセンシング(Remote Sensing:遠隔探査)とは、自然環境や人工物などの観測対象を、遠隔から観測・計測する手法全般をいう。狭義には、人工衛星や航空機などから地球表面付近を観測する技術を指すことが多い。カメラやレーダ、センサなどの観測装置を搭載した人工衛星、飛行機、気球、ヘリコプタ、ドローンなどが用いられる。観測装置は、地球上の陸域、海域、雲などが反射した、あるいは自ら放射した電磁波(光や電波)を観測し、得られたデータを解析することにより、地表の土地利用、森林、農作物などの状況や、海面の温度や色、雲の状態や雨の強さなど、様々な情報が得られる。

例えば、東京湾ゲートブリッジ建設に当って、人工物建造過程や周辺環境変化、リスクになりうる地盤変動や人工構造物の変形などを宇宙からモニタリングできる。

農業においても、宇宙から、耕作地の状況変化や植物の生育、気候変化の観測、台風や集中豪雨、干ばつの予測などで威力を発揮する。

その他、森林の変化、海氷の分布、航路の安全監視、水害など災害の被害の最小化、環境監視によるビジネスリスクの回避など様々なシーンで活用される。

 

日本国政府の宇宙基本計画においては、リモートセンシングに係る衛星システムとして以下がある。

1. 可視光域の光学センサや、レーダなどで、陸域・海域の地球の表面を写真のような画像として撮影する「陸域・海域観測衛星システム」(「だいち」など)

2. 温室効果ガス濃度、降水量の計測や雲の状況など、主に大気中の様々なデータを取得する「地球環境観測・気象衛星システム」

3. 関心地域の撮像等を行う「安全保障を目的とした「情報収集衛星システム」

陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS-2)

陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(画像提供:JAXA)

 

日本における衛星によるリモートセンシングの利用例を挙げる。

1. 研究利用については、地球科学・地球環境、気候・気象などの分野において、国内外の研究者に広く利用されている。

2. 実利用に供されているものとしては、「だいち」などを利用した地図の作成・更新、船舶の運航等に影響する海氷の監視、石油や鉱物資源の調査、気象衛星「ひまわり」などを利用した気象予報、情報収集衛星を利用した外交・防衛等の安全保障及び大規模災害等への対応等の危機管理のために必要な情報収集などがある。

3. 実証段階、研究段階の利用としては、「だいち」などを利用した防災マップへの利用や被害状況の把握などの防災・災害対応、地震や火山活動に係る地殻変動の監視、河川やダム等の水資源管理、森林の現況把握、変化把握等の森林管理、世界の主要穀倉地域における穀物の作付面積、作付時期・刈り入れ時期等の穀物生産動向把握、サンゴ礁の白化現象等のモニタリングや産業廃棄物の不法投棄監視などの環境監視などがある。

4. 民間利用では、水稲のタンパク質含有量の分析などの作物の育成状況把握や、クリーン開発メカニズムに基づく植林事業などの農林業、民間気象会社による気象予報、資源会社などによる資源調査や資源開発に伴う環境影響評価などがあるが、広く利用されているとは言い難い。リアルタイム性(数時間∼1日程度)を必要とする用途では、気象業務などに利用が限定されている。

「だいち2号」が観測した御嶽山の噴火(2014年9月27日)前後の比較画像。衛星と地表の距離の変化を色で示したもの。丸内が黄~赤に変化しており、衛星に近づく変化があったと考えられる。

「だいち2号」が観測した御嶽山の噴火(2014年9月27日)前後の比較画像。衛星と地表の距離の変化を色で示したもの。丸内が黄~赤に変化しており、衛星に近づく変化があったと考えられる(画像提供:JAXA)

 

なお、GeoEye社のIKONOSやGeoEye、DigitalGlobe社のQuickBirdやWorldViewなどを擁する欧米と異なり、リモートセンシングに係る民間の衛星は存在しない。

静止気象衛星「ひまわり」は、世界気象機関(WMO)の世界気象監視(WWW)計画に基づく全球観測システムの一翼を担うとともに、全球地球観測システム(GEOSS)の構築にも資する。我が国は静止気象衛星「ひまわり」シリーズを30年以上にわたって運用している。現在のひまわりは、2014年10月にH-IIAロケット25号機によって種子島宇宙センター打ち上げられたひまわり8号で、スキャン速度やスキャン領域、デーや量などで世界最新システムを備える。

GEOSSは、2003年のG8サミットにて小泉元首相の提唱により始まった取り組みで、地球温暖化などの諸問題に対して持続可能な社会の実現を目指し、国際的に共通な利用ニーズ(災害被害軽減、気候変動の理解、水資源管理など9分野)に対応するため、人工衛星観測および地上観測を統合した複数の観測システムからなる包括的な地球観測のシステム。日本は、マイクロ波放射計や降水レーダなどの水観測に関する多様な技術や、温室効果ガスセンサなどの温暖化防止に資する環境観測技術など、世界最先端の衛星搭載センサ技術等により貢献している。


 

近日公開予定の「リモートセンシング」市場コンテンツでは、この市場のグローバル市場規模、用途展開、活躍できる職種などを紹介する。

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