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IDEC、ナイルワークス、東京理科大学のイノベーターたちが注目する市場・企業・人物とは?~次世代農業EXPO 2015レポート~

text by : 編集部
photo   : 編集部

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10月12日から14日までの3日間、幕張メッセで開催された「第2回 国際次世代農業EXPO」。IT農業、ソーラーシェアリング、6次産業化、植物工場など次世代の技術や製品が一堂に集まるなかで、ITや工学など異分野からの参入が目立った。

そこでastavisionでは「次世代農業EXPO」に出展している企業や大学で、異分野から農業に参入したイノベーターたちが、どのような市場や技術、企業、人物に注目しているのか、話を聞いてみた。


 

■「制御機器製品」→「超微細気泡(ウルトラファインバブル)」+「土壌微生物・土壌生態系

小川隆宏さん(IDECシステムズ&コントロールズ株式会社 環境エネルギー事業統括部 アグリシステム部 部長)

IDEC小川さん

メガソーラーシステムや農業の自動化システムを手がけるIDECシステムズ&コントロールズ。親会社であるIDEC株式会社は、1990年の超微細気泡水生成装置の開発を機に農業分野に参入し、植物栽培の研究を行ってきた。この超微細気泡水技術と、高濃度微生物による根圏環境の最適化技術により、「地上部」だけではなく「地下部」も含めた総合的な管理による次世代農業プラントを提案している。

あなたの注目している技術は?

バイオテクノロジーを「見える化」する技術です。土壌微生物の活性や多様性、超微細気泡水が植物にどのような影響を与えるのか、といったことを可視化する技術が必要だと思っています。

注目している企業は?

今日のイベントにもオーガニックソイルさんなど土壌関連の企業がいくつか出展してますが、そういった企業はやはり気になりますね。われわれの日常に深く入り込んでるにもかかわらず、まだ微生物の役割に対する認知度はあまり高くはない状況です。競合といったことにこだわらず、土づくりや微生物を扱っている企業とは一緒に市場作りをしていければと思います。

注目している人物は?

立命館大学の久保 幹 教授です。「総微生物数」「窒素循環活性」「リン循環活性」の3大指標を診断・分析し、土の健康状態を数値で見える化する土壌肥沃度指標「SOFIX」を開発されました。


 

■「映像配信プラットフォーム」→「農薬散布ドローン」

柳下洋さん(株式会社ナイルワークス 代表取締役社長)

ナイルワークス柳下さん

自動飛行型農薬散布マルチコプターを開発している株式会社ナイルワークスは、2015年1月に映像配信プラットフォーム企画・開発の株式会社ビデックスの一部門として設立された。開発の契機について柳下さんは「インターネットでの映像配信の普及に伴い、撮影手法も変化すると予測し、クレーン等がなくても空撮を可能にするドローンの開発を2004年ごろから検討開始しました」と語る。その後、用途開発の過程で無人ヘリによる農薬散布の実態を目のあたりにし、大規模な散布ではなく、その土地の特徴や作物の生育状態に最適化された農薬散布に需要があることに気づいたという。

あなたが注目している技術・企業・人物は?

リモートセンシングです。北海道科学大学の佐鳥新教授が開発したハイパースペクトルカメラでは、作物に含まれるクロロフィル(葉緑素)を読み取った波長の長さから、クロロフィルの活動範囲を測定することができます。この測定結果を活用し、どのタイミングで肥料を撒き、収穫するかを決める、といったことを実現したいと思っています。

また、リチウム・二次電池、GPSといった分野にも興味があります。リチウム電池の分野ではパナソニックが一番ではないでしょうか。

農業の分野では、宇都宮大学農学部の居城幸雄教授や高橋行継准教授と共同研究を進めています。


 

■「有機トランジスタ」→「シースルー有機薄膜太陽電池を用いた植物栽培システム

渡邊康之さん(諏訪東京理科大学 工学部 電気電子工学科 准教授 工学博士)

東京理科大学渡邊さん

2009年までは千葉大学で有機トランジスタの研究に取り組んでいた渡邊さんは、2010年、長野県にある諏訪東京理科大学に拠点を移したことをきっかけに、農業での活路を見いだした。「大学の前に農地が広がっていて、ソーラーシステムもあったのですが、これをもっと持続可能で自然を守るような形にできないかと考えていたところ、農作物に必要な光は青と赤であるということを知り、では不要な緑の光で発電できるのではないか、ということに気づきました」と渡邊さんは語る。そうして青と赤の光を透過して植物栽培に利用し、緑の光で発電する「シースルー有機薄膜太陽電池を用いた植物栽培システム」が開発された。

現在はベンチャー企業の立ち上げも含めた可能性を模索中で、事業化に向けて邁進しているという。「農業と工学の知見を併せ持った人材を育成する研究機関が不足している現状で、このふたつの分野の架け橋になることができれば」というのが渡邊さんの展望だ。

あなたが注目している分野は?

生体情報デバイス機能性食品の分野です。健康状態などに関する生体情報をビッグデータとして得ることができれば、どんな栄養素を持った作物にどのくらいのマーケット規模があるのかがわかるようになり、農業にも活用することができます。

その次に来るのが、宇宙空間での植物栽培ではないでしょうか。

注目している人物は?

東京大学大学院工学系研究科の染谷隆夫教授です。染谷教授が開発した有機薄膜トランジスタの薄さと軽さにはショックを受けました。有機トランジスタの研究をしていた頃は「ディスプレイ駆動用のトランジスタ」という用途ばかり考えていましたが、こういうやり方もあったじゃないかと思うと二度ショックでしたね(笑) でも、それを機に「自分は農業の分野で有機エレクトロニクスを盛り立てていこう」と決意を新たにすることにもなりました。


 

astavisionでは今後「マイクロバブル・ナノバブル・ファインバブル」「土壌微生物・土壌生態系」「ロボット飛翔体・ドローン」などの市場コンテンツを公開予定。

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