2016.06.16 THU 「車載電子機器/コンピュータ」市場における科研費ランキングTOP50
text by : | 編集部 |
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photo : | shutterstock |
どのようなテーマが共感を呼び、どのような形で投資を集めているのか、世界中の特許/論文、科学技術研究費、ベンチャー投資、クラウドファンディング情報などを集め、独自に分析する本企画。今回は、180の有望成長市場のうちのひとつ「55.車載電子機器/コンピュータ 」市場における大学・研究機関別の科研費獲得金額ランキングを発表、さらに注目すべき研究テーマを紹介する。
■総投資額約56億円、全大学/研究機機関163、662テーマ中、「55. 車載電子機器/コンピュータ」市場における大学・研究機関別(※1)の科研費獲得金額ランキングTOP50(※2)
(※1)研究代表者が所属する大学・研究機関
(※2)2006~2015年の交付分。2016年6月時点でデータ取得
■注目すべき研究テーマをご紹介
ミニ電気自動車を用いたアドホックネットワークとその利用に関する研究(新潟大学 間瀬憲一教授 他 / 4238万円)
この研究では、ミニ電気自動車を用いたアドホックネットワークの有効性について、特に被災地における通信確保と被災地のモニタリングについて検証された。アドホックネットワークを形成するのに利用している電気自動車を母艦として無人・超小型軽量の電気ヘリコプターを組み合わせることにより、地上・空中からの強力かつ長時間にわたる被災地のモニタリング活動が可能となることなどが提唱された。
モータ / キャパシタ / ワイヤレスによる2030年のクルマ社会に関する研究(東京大学 堀洋一教授 他 / 4914万円)
この研究では、現在のリチウムイオン電池を中心とした電気自動車(EV)開発に代わる、「モータ / キャパシタ / ワイヤレス」の技術を用いた「もう一つのクルマ社会」を提案し、そのための要素技術の研究開発を行うことを目的とされた。「ワイヤレス」電力伝送によって電力インフラにクルマを接続し「キャパシタ」に充電しながら走るクルマの開発、「モータ」の制御性の良さを活かした運動制御による安全性の向上と省エネルギー化の実現などに取り組んでいる。
少数アンテナを用いたUWBレーダー高次イメージング手法の開発(京都大学 佐藤亨教授 他 / 4498万円)
この研究では、これまでにイメージングの障害であった周囲からの反射派や目標物との相対運動に伴うドップラー効果を積極的に使用することにより、少数のアンテナのみを用いた目標物の位置や距離、形状や運動といった高次情報を得るイメージング手法を開発した。UWB(超広帯域)レーダーを用いて、歩行人体の各部が異なる速度を有することから三次元形状や歩幅、歩行形態などの情報を高い精度で得ることなどに取り組んだ。
■「55. 車載電子機器/コンピュータ」市場について
クルマのスマート化に伴い、また、ITS(高度道路交通システム)や自動運転システムの発展とともに、ますます多くの電子機器やアプリケーションが導入されていくと見られている。 また、一つの機器やシステムの中に、関連する多くの技術が組み合わされている。たとえば、自動車用ECUの構成としては、電源、入力バッファ、AD コンバータ、マイコン、 EEPROM、出力ドライバ、通信ドライバー・レシーバなどの電子機器からなる。 また、ADAS(Advanced Driving Assistant System:先進運転支援システム)においては、歩行者認識、信号認識、サラウンドビュー、死角検知、車線逸脱警告、ドライバーの覚醒度監視・注意喚起、パーキングアシスト、ナイトビジョンなどの多様な機能によって、事故回避を実現するために様々なセンシング技術、通信技術、車体制御技術などを電子的に統合制御している。
主な技術要素としては「カーナビゲーション機器」「車載インフォテイメント(IVI)システム」「ヘッドアップディスプレイ(HUD)」などがあり、主な技術・製品・サービスの例としては「IVI」(BMW、株式会社デンソー、Intel)、「車載用シリアルEEPROM」(セイコーインスツル株式会社)などがある。
また、この市場の主なプレイヤーとしては、トヨタ自動車株式会社、クラリオン株式会社、富士通テン株式会社などがあり、180の有望成長市場における主な関連市場としては、「13. 産業用大規模ワイヤレス給電・宇宙発電」 「46. 交通事故防止システム 」 「106. インフラ監視システム」 などがある。
astavisionでは、この市場の2015年世界市場規模を200億米ドルと推定、2025年世界市場規模を520億米ドルと推定している。
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