2015.04.26 SUN ウェアラブル生体情報センサで除染作業に携わる人々を守る
text by : | 編集部 |
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photo : | shutterstock.com |

(※)この記事は2013年11月15日にastamuse「技術コラム」に掲載された内容を再構成したものです。
原子力発電所などの核燃料施設においては、作業者が高い放射線量に晒される危険性を伴うため、放射線源の管理はもとより、作業者が被曝する放射線量の正確な把握と防護体制が重要である。 特に、東京電力福島第一原子力発電所のような大規模事故現場において、事故収束と廃炉に向けての作業に当る人々に対しては、放射線量と同時に、身体への影響を常にモニタリングし、 万一の事態にも対応できる安全管理が必要だ。そのために、作業現場内に監視カメラを設置したり、放射線検出装置搭載の無人車両を走行させたりするなど、様々な工夫が行われてきた。
しかしこうした方法は、事故を画像や放射線量の急変等で把握した後の対処であり、危険な状況を予め察知して回避するというものではない。そこで、世界最小最軽量の無線式生体情報センサを製作している株式会社アール・アイ・イーは、日立アロカメディカル株式会社の放射線検出技術を利用して、 個人が被曝する放射線量と心電・体温・体動等の生体情報を同時に計測し、計測値をリアルタイムで無線送信することのできるウェアラブル(身体や衣服に装着できる)センサを開発した。3軸加速度センサを用いることで、転倒や伏臥など姿勢の急変も察知可能だ。
本センサによれば、作業者の被曝線量と作業者の活動状態や健康状態をリアルタイムで遠隔地でモニタリングすることが可能であり、 線量の急激な上昇や、作業者の体調や姿勢の急変などを察知して、直ちに救助に駆けつけたり、注意を促すことができる。また、IDの区別と中継アンテナの設置により、互いに離れた場所で作業する多数の作業者の個々人の被爆状況と健康状況を同時に把握し、安全に管理するシステムを構築できる。事故後の原発など特殊環境での除染作業に使用される最先端の無線式線量計として、本システムの活躍が期待される。
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