2015.09.11 FRI 「天然物化学・高分子合成/分析」市場とは?
text by : | 編集部 |
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photo : | William Waterway |
astavisionが企業・特許情報のビッグデータ分析により、今後成長が見込まれる市場を分類した「2025年の成長市場」。近日公開予定の「天然物化学・高分子合成/分析」市場コンテンツについて、その一部をプレビューする。
「天然物化学・高分子合成/分析」について
天然化合物(生物が産生する物質)は繊維やゴムなどの素材、染料、医薬、香料などをはじめとして、幅広い分野で人類の生活に役立っている。これらの物質を取り出して利用するには、植物や動物などを栽培あるいは飼育して、採取、抽出するのが一般的である。木綿、麻などの繊維やゴムなど、一部の物質は工業的な生産手法が確立しているが、その他のほとんどの天然物については採取できる量が極めて微量であることが多く、人工的に合成することも非常に困難なため、コストが高く、その利用は限られている。
近年、遺伝子工学の進展に伴い、物質生産に関連する遺伝子を微生物に導入し、微生物を使ってこの遺伝子をもとに物質を合成させることで、合成が困難な天然物を大量に高効率で生産する手法が注目されている。さらに、微生物に導入する遺伝子を所望の特性に合わせて任意に設計することで、遺伝子のデザインによる物質のデザインが可能になりつつある。
2013年には、慶応義塾大学発のベンチャー企業であるSpiber株式会社がこの技術を用いて人工クモ糸繊維の大量合成に成功したと発表し、大きな話題となった。このような遺伝子工学的アプローチからの天然物合成技術の進展は、より高機能な素材や、工業プロセスにおける環境負荷の低減が求められる中で、今後も加速していくものと思われる。
「天然物化学・高分子合成/分析」市場のグローバル市場規模
高機能繊維、天然ゴム、バイオプラスチックを合わせた「天然物化学・高分子合成/分析」市場のグローバル市場規模は2014年時点で352億ドル、2020年には477億ドルと予想される。
富士経済発行の「高機能繊維と応用製品市場の現状と将来展望 2013」、「2015年 高機能エラストマー・応用製品市場の展望とグローバル戦略」および「2015年 エンプラ市場の展望とグローバル戦略」における該当市場規模の報告値、予測値をもとに成長率(CAGR)を算出し、2020年時点での市場規模合計値を概算した。
近日公開予定の「天然物化学・高分子合成/分析」市場コンテンツでは、この市場の最新技術や用途展開、活躍できる職種などを紹介する。
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