エネルギー

太陽光発電・太陽電池・人工光合成

2025年グローバル市場規模予想

1000億ドル

太陽光発電・太陽電池・人工光合成
2015年4月30日、米国の電気自動車ベンチャーTesla Motors社や宇宙開発ベンチャーSpaceX社を率いるイーロン・マスク(Elon Musk)氏は、「THE MISSING PIECE」と題したプレスミーティングで、次のように述べた。 “For the future to be good, we need electric transport, solar power and (of course) the missing piece ”.(参考動画:http://www.teslamotors.com/jp/livestream
折しも、米海洋大気局(NOAA)は、地球全域の大気中のCO2濃度の月平均値が2015年3月に観測史上初めて400ppmを超えたと発表した。 CO2に代表される温室効果ガス削減は、進行しつつある気候変動・環境異変の歯止めとして重要であり、その切り札が、太陽光発電などの再生可能エネルギーの普及である。しかしながら、太陽光発電最大の弱点が、バッテリーが高額で費用対効果の観点から、蓄電が困難であることだった。イーロン・マスクのいう“the missing piece”はまさに、安価な大容量リチウムイオンバッテリーであり、これが量産化されることで、太陽光発電の受給バランスが安定化し、化石燃料消費型文明からの脱却が現実味を帯びてくる。
太陽電池の技術面では、第一世代のシリコン結晶型がエネルギー変換効率25-30%程度、第二世代の薄膜型は15%程度であるが、第二世代には窓や建材に用いられるシースルー型色素増感型太陽電池や形状がフレキシブルでウェアラブルな太陽電池、さらに、塗る太陽電池や、繊維形状の編む有機太陽電池など、斬新な発想も見られる。実用化にはまだ時間がかかるが、第三世代として、効率60%以上を狙える量子ドット型やヘテロ多接合型(HIT)、さらに、効率80%以上(理論効率100%)が期待される第四世代の強相関電子系、プラズモニクス(プラズモン共鳴系)、波長変換型の研究も始まっている。
太陽光からのエネルギー転換という意味では、日本が世界のトップを走る人工光合成の研究も見逃せない。植物を模して、半導体や金属錯体を用いて、太陽光と水と二酸化炭素から有機化合物などを作るもので、2011年、豊田中央研究所が世界で初めて、酸化チタン電極と金属錯体電極による人工光合成で、ギ酸を合成することに成功した。既に、首都大学東京・井上晴夫教授が発見した1光子2電子酸化反応により、エポキシ化合物などの生成に成功しており、今後、アルコールのような石油代替燃料の生成も射程に入ってきた。

太陽光発電・太陽電池・人工光合成の活躍の場

  • ・ソーラーカー・電気自動車・ハイブリッド車
  • ・燃料電池
  • ・超小型モビリティ・パーソナルモビリティ
  • ・二次電池・バッテリ
  • ・光触媒
  • ・スマートハウス
  • ・スマートシティ
  • ・スマートモビリティ
  • ・ITS高度道路情報システム
  • ・資源探査・エネルギー開発

太陽光発電・太陽電池・人工光合成のグローバル市場規模推定

我が国の太陽光発電市場は、固定価格買取制度(FiT:Feed-in Tariff または FiL:Feed-in Law)の開始前の2011年度では、住宅用太陽電池が国内出荷量の約86%を占めていたが、現在では、メガソーラー(1000kW以上)や、遊休地を活用した中規模太陽光(10kW以上500kW未満)について、全国各地で計画・建設が進むなど、非住宅用の市場が大幅に拡大している。 FiT開始を機に、太陽電池の製造部門に加え、設置・施工から発電事業に至るまで、各段階で新たなビジネスチャンスが訪れ、関連市場が拡大している。経済産業省の試算では、2050年には2億4780万キロワットに達し、その60%を非住宅・メガソーラ―を占めるとされる。2020年度の国内市場規模は、2010年度比2.6倍の1兆7000億円規模への拡大が見込まれる。一方、グローバル市場規模は、2010年に3兆4000億円、2015年には7兆3000億円、2025年に12兆円≒1000億米ドルと予想される。

太陽光発電・太陽電池・人工光合成との連携により発展していくと予想される事業分野

ソーラーカー・電気自動車・
ハイブリッド車

燃料電池

二次電池・キャパシタ

光触媒

ゼロエミッションビル(ZEB)

スマートハウス

スマートシティ

スマートモビリティ

ITS高度道路情報システム

資源探査・エネルギー開発

この市場で活躍する可能性が高い職種です。

この市場で
活躍する職種

機械系エンジニア

サーバエンジニア

電気分野研究開発

電気系エンジニア

IT・通信分野研究開発

インフラエンジニア

化学分野研究開発

機械分野研究開発

ネットワークエンジニア

IT・通信系プロジェクトマネージャー

システムエンジニア

データマイニング/データサイエンティスト

総括

太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーは、化石燃料依存によるCO2排出を抑え、かつ、原子力発電よりもクリーンで安全な代替エネルギーとして注目されてきたが、日本では、2012年7月に太陽光発電の全量買取制度が開始されて以来、メガ・ソーラ―(メガワット規模の大規模太陽光発電施設)建造ラッシュが起こり、発電設備を作らず、大手発電事業者への転売を目的とする開発も見られ、太陽光バブルともいわれる状況を生じていた。こうした中で起きたのが、 2014年9月25日、九州電力による再生可能エネルギー発電(再エネ発電)事業者からの送電網への接続申し込みへの回答の一時保留。再エネ発電事業者に動揺が広がったが、これに拍車をかけたのが、 9月30日、北海道電力、東北電力、四国電力が相次いで保留を発表したことだった。天候や時間帯により発電量が大きく変動する再エネ発電事業者からの接続がこれ以上増えると、電力会社でも急激な増減を吸収することができず、電力の安定的供給に支障をきたすと判断したためだ。こうした電力需給バランスの不均衡に備え、九州電力、東北電力は、2015年4月、電力系統に大容量の蓄電池システムを設置する計画をそれぞれ発表した。そして、4月30日、イーロン・マスクの“the missing piece” 、安価な大容量リチウムイオンバッテリー(家庭用のPowerwall、業務用のPowerpack)が発表されたことで、電力会社だけでなく、家庭や中小規模の工場や事業所などでも再エネ発電による電力備蓄の可能性が出てきた。

その一方、太陽光発電のエネルギー変換効率はというと、第一世代のシリコン結晶型で25-30%程度、第二世代の薄膜型で15%程度と低い。第一世代のシリコン結晶型太陽電池パネルは既に競争激化でコモディティ化に見舞われているが、第二世代のシースルー型色素増感型太陽電池は住宅やビルの窓や建材への応用、有機薄膜太陽電池は形状がフレキシブルでウェアラブル機器の電源に使われたり、さらに、塗布型低分子有機半導体材料を用いた塗る太陽電池や、繊維形状の有機エレクトロニクスデバイス(編む有機太陽電池)など、斬新な発想で付加価値を生み出す製品も見られる。
さらに、第三世代として、効率60%以上を狙える量子ドット型やヘテロ多接合型(HIT)が研究されているが、複雑でコストが高く、実用化は10-20年先とみられる。さらに、効率80%以上といわれる第四世代の強相関電子系、プラズモニクス(プラズモン共鳴系)、波長変換型の研究も始まっているが、実用化には20-30年の道程がある。 それでも、こうした高効率エネルギー変換が可能となれば、再生エネルギーを産業基盤に据える未来も描出可能となる。

太陽光からのエネルギー転換という意味では、日本が世界のトップを走る人工光合成の研究も見逃せない。植物や光合成細菌(シアノバクテリア)が葉緑素(クロロフィルなど)を用いて行う光化学反応を模して、半導体や金属錯体を用いて、太陽光と水と二酸化炭素から有機化合物などを作るものだ。2001年12月、産総研は「人工光合成システムで可視光による水の完全分解に世界で初めて成功」という快挙を成し遂げた。産総研ではすでに、光電極を用いた水分解による水素製造の世界最高効率を達成している。二酸化チタンに光照射すると水の酸素と水素への光分解が起こることは日本人が発見したもので、「本多・藤嶋効果」(1971年)と呼ばれており、人工光合成の原点はまさに日本人が生み出したものだった。2011年、豊田中央研究所が世界で初めて、酸化チタン電極と金属錯体電極による人工光合成で、ギ酸を合成することに成功した。そしてさらに大きなブレークスルーが、首都大学東京・井上晴夫教授による一つの光子(フォトン)で2つの電子反応を引き起こす1光子2電子酸化反応の発見だ。それまで1光子では1電子しか放出できないと考えられてきたため、光化学反応を弱い可視光のエネルギーで制御することは非常に困難だった。既に、1光子2電子酸化反応により、エポキシ化合物などの生成に成功しており、今後、アルコールのような石油代替燃料の生成も射程に入ってきた。
地球の静止軌道上に浮かぶ太陽光発電設備、宇宙太陽光発電(SSPS:Space Solar Power System)。宇宙空間に浮かべた太陽光パネルでつくった電力を地球に無線で送り、日本の エネルギー問題の解決に役立てるというものだ。2015年1月、日本国政府が改訂した2024年度までの宇宙政策指針「宇宙基本計画」に、引き続きSSPSが明記された。これもまた、SF的な夢物語という人もいる。しかし、人工光合成がそうだったように、不可能といわれることを疑うことからしか、不可能の壁を破ることはできない。
実際、SSPSの中核になる無線送電の地上実証試験が相次いで成功している。JAXAが55メートルの無線送電に成功したのに続いて、三菱重工業は距離を500メートルに延ばして10kWの電力を伝送した。

太陽光発電や人工光合成の歴史は長いが、技術としては未だ黎明期、これからどのような夢の技術が実現するか、未知数である。

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