2016.07.07 THU 「遠隔医療・遠隔手術」市場における科研費獲得金額ランキングTOP50
text by : | 編集部 |
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photo : | shutterstock |
どのようなテーマが共感を呼び、どのような形で投資を集めているのか、世界中の特許/論文、科学技術研究費、ベンチャー投資、クラウドファンディング情報などを集め、独自に分析する本企画。今回は、180の有望成長市場のうちのひとつ「30. 遠隔医療・遠隔手術 」市場における大学・研究機関別の科研費獲得金額ランキングを発表、さらに注目すべき研究テーマを紹介する。
■総投資額約25億円、117大学/研究機機関、383テーマ中、「30. 遠隔医療・遠隔手術」市場における大学・研究機関別(※1)の科研費獲得金額ランキングTOP50(※2)
(※1)研究代表者が所属する大学・研究機関
(※2)2006~2015年の交付分。2016年7月時点でデータ取得
■注目すべき研究テーマをご紹介
多様な臓器・器官の低侵襲操作のための高集積手術機械システムの創造(東京工業大学 小俣 透教授 他 / 3913万円)
この研究では、腹腔・胸腔鏡下手術などの内視鏡手術の急速な普及や放射線治療における医師の被ばく防止策に対応するために多様な臓器・期間を低侵襲に操作するための高集積手術機械システムを開発することを目的とされた。小型力センサを組み込んだ鉗子の開発、口腔外科小線源治療用遠隔手術システムの開発、咽頭がん手術マニピュレータの開発などに取り組み、これらを集積したデバイスおよびシステムが開発された。
臨床応用に向けた遠隔看護システムの開発(筑波大学 川口孝泰教授 他 / 4589万円)
この研究では、情報通信技術を用いた新たな看護技術(遠隔看護システム)を臨床応用可能な社会システムとして開発することを目的として行われた。実施された遠隔看護(テレナーシング)では在宅療養糖尿病患者を対象に毎日のセルフモニタリング(バイタルサインの測定・記録)とWebカメラを用いたテレビ電話による指導、相談などを実施した。その結果、対象患者の自己管理が促進されるなど遠隔看護の実用化に向けた有効性が示唆された。
包括的な遠隔心理支援システムの開発(福岡大学 長江信和准教授 他 / 1950万円)
国が定める重要な精神保健医療福祉施策である「心の健康づくり」は国民のQOL (Quality of life, クオリティ・オブ・ライフ) の向上や自殺などの予防につながることが期待される。この研究では、心の病や人間関係、経済的問題などの悩みを抱えて社会的に孤立した要援助者を対象に臨床心理学的観点からインターネットを用いた心の健康づくりの新手法である包括的遠隔心理支援システムを構築し、2000件以上の遠隔心理支援を実施した。
■「30. 遠隔医療・遠隔手術」市場について
遠隔医療は、日本では1970年代頃に始まり、当初は医者・医療機関同士による”D(Doctor) to D”が、その後、医者・医療機関と患者間の”D to P(Patient)”タイプの遠隔医療が発展してきた。厚労省医療統計によれば、遠隔医療は「遠隔画像診断」、「遠隔病理診断」、「遠隔在宅診療・療養支援」の3つに大きく分類され、そのどれもが 2005年から2014年までの間に2倍程度にまで増加している。遠隔操作により手術を行う目的で開発され、2000年にFDAで承認を受けた内視鏡手術用ロボット「ダ・ヴィンチ」があるが、このような手術支援ロボットの市場規模は約4000億円とも言われている。
主な技術要素としては「遠隔画像診断」「手術支援ロボット」「AR医療」などがあり、主な技術・製品・サービスの例としては、遠隔医療健康相談「ポケットドクタ」(株式会社オプティム、MRT株式会社)、「da Vinci」(Intuitive Surgical)などがある。
また、この市場の主なプレイヤーとしては、ソニー株式会社、パナソニック株式会社、株式会社日立製作所などがあり、180の有望成長市場における主な関連市場としては、「18. 画像診断・生体イメージング」「39. 手術ロボット・手術支援システム」「175. 生体情報デバイス・バイオセンサ」などがある。
astavisionでは、この市場の2015年世界市場規模を248億米ドルと推定、2025年世界市場規模を710億米ドルと推定している。
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