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ヒトが活躍する未来。プロ人材が挑戦できるエコシステム創造が加速すれば、日本はもっと元気になる。――みらいワークス 岡本祥治

text by : 編集部
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昨今、流行り言葉になっている「オープンイノベーション」。

業務提携や資本提携、M&A、共同研究開発、産学連携と大きなイメージを持たれがちですが、「ヒトの活躍が日本の未来を元気にする」と明言し、企業間の連携だけではなく、『個と企業の連携』を支援している企業があります。

日本をもっと元気にする為に、未来を創る「プロ人材」の活用を推進する株式会社みらいワークス代表取締役社長の岡本祥治様にお話を伺いました。


■働き方改革が新たな雇用形態を加速させた「プロ人材の活用」


――岡本社長、いきなりですが御社の事業、プロ人材の活用についてお聞かせいただけますか?

私たち、みらいワークスが提唱している「プロ人材の活用」とは、企業で何かプロジェクトが立ち上がる際、フリーランス、もしくは起業家の方で、月100万以上稼ぐような実力家の方々の中から必要な人数を集め、プロジェクトを成功に導きます。そして、軌道に乗ると解散する。そんなサービスになっています。

端的に伝えると「プロジェクト立ち上げの成功請負」のようなイメージです。

――働き方の多様化が加速するなか、プロ人材の「定義」をどのようにお考えですか?

仕事を時給みたいな考え方をするのではなく、成果とかアウトプットで仕事をしている人をプロ人材と独自定義しています。フリーランスの語源は「傭兵」を指していて、戦いの時に、槍一本で来てくれて戦いが終わったら去って行く。まさに同じような価値観を持っているビジネスプロ人材が増えてくると、あの人たちが来てくれて助かったよね、っていうことを思う人が増えて来て、結果としてもっと外部の人たちを使っていきましょうよってなると思っています。

逆にフリーランス「傭兵」をやるべきじゃない人、それは2つの側面がありまして、スキル面で足りていない人、あとマインドセットができていない人。やはり個人として戦っていくのであれば、それなりに責任も伴いますし、ある意味ちょっとした孤独とかもあるんですけど、それに耐えられる人と耐えられない人も中にはいるんですよ。


■プロ人材が日本の未来をもっと元気にする


――プロ人材が増える、活躍することで社会へどんな良い影響がありますか?

独立・起業する人たちって、やりたいテーマがいくつかあるんですけど、3大テーマがあることがわかったんです。

1つは地方創生
2つ目は中小ベンチャー支援
3つ目は海外進出、海外展開

これってどれをとってみても、日本を元気にする。そんな仕事なんですよね。なので起業する人たちってみんな日本を元気にとか、想いを持っている人たちが多いんだなと考えた時に、自分自身が日本を元気にって一人で考えなくても、その人たちが活躍できるような社会インフラを作ってしまえば、みんながどんどん日本を元気にするんだろうなって。

それで私たちは、日本を元気にするためにプロ人材の方々の働く場所をどんどん広げていこう、プロ人材の方の活躍の場所を作ろう、と。


■新規事業創造の現場に活用される「プロ人材」


――プロ人材はイノベーションの現場で、どのような活躍をされていますか?

日本は第二次産業革命以降、製造業を中心に成長した国です。昔からの事業領域、老舗の会社、伝統を守る仕事をしている人たちと、新興ベンチャー企業の人たちって価値観が少し違っていて、その間をつなぐ人材が必要だったりするんですよね。

特に、金融(Fintech)の領域などは、自社だけでやるのではなく、外部とアライアンスを組むことになるんですけど、老舗の大企業とベンチャー企業の間に生まれるスピード感の差。そこを短縮させる為に3ヶ月、半年間だけ、プロ人材が間に入ってアライアンスをうまくまとめる役目が必要になったりします。

新規事業の創造は、今まで会社にないことを作る部門ですので、外部の別の知見を持っている人とかが、スポット即戦力として使いやすいっていうそう面もあると思いますね。

大企業側にしてみても大企業側の仕事の進め方をわかっている人がベンチャーにいるってなると仕事が進めやすかったりするんですよね。そう意味でプロ人材の方はいろんなところで機能しているのかなと思っています。


■超高齢化社会と、グローバルで注目されるヘルスケアマーケット


――これからの日本で、高齢化が進むことによる危機感はありますか?

日本は世界でもっとも高齢化が進んでいる国であるのは間違いありません。これが重荷になって世界の中から存在感が消えていく、そんな懸念や危機感は理解できるのですが、一方でこれから世界中の国が高齢化と戦っていかなくてはならない時に、社会的イノベーションを真っ先に起こせる可能性があるというのはある種のチャンスではないかと私たちは考えます。

――高齢化社会をリスクではなく、ポジティブにとらえることもできるということですね。

私たちが直面し、そこで培ったソリューションを世界中に売りに行けば、日本を牽引するような新しいビジネスが立ち上がる可能性もあるんですよね。そんな時にこのヘルスケアっていうマーケットに対して、まだ足りていないものは、やっぱプロ人材、なんですよ。

ヘルスケアのマーケットを知っていて、なおかつ経営も知っている人材って圧倒的に足りないんですよね。そんな人材を我々がしっかりとリソースを持っていて、それを必要な時に提供できるようになることによって、そこでイノベーションが起きてくると考えています。

未来を危惧するのではなく、機会や挑戦ととらえ、そこの市場をもっとも大きくしていくことに貢献していきたいなというのが、我々がやっている一つの方向性なんですよね。


■未来を創る企業や事業成長における課題と解決策


――日本企業が未来に向かって連続成長をしていく上で課題感はありますか?

例えば、子供にエンジニア教育だとか、新卒の方々に対してサービスを提供するとか、いろんなことがあるんですけど、その方々が日本を引っ張るくらいまでの年月が経って、要は10年20年たった時に、日本てどうなっているかっていうと、もうたぶん世界においていかれちゃっているんですよ。

そうならないためには今のこの時期に、この瞬間に日本中にある人のスキルをいかに最大活用して、日本の経済を引っ張っていくかっていうことを考えなければ遅れを取るかもしれないと思うと、我々のようなプロ人材のシェアリングというのは今まさにここで必要なサービスなんじゃないのかなという風に考えていますね。


■日本企業の採用概念の課題と変化


――プロ人材の活躍を多く見てきたみらいワークス様から見る人材採用や雇用の課題は?

一部の大企業でいまだ残る課題ですが、就社させることを目的にした人事機能になっていること。活躍させるというよりも、会社の中の枠組みにどうやって当てはめていくか、そういう発想で人材を採用している問題です。

本来の人事機能は、社員の才能をどうやって活かせるかという目線でやって行かなくちゃいけないと思うんですけど、歴史的にそういうような観点で仕事をしてきていないので、条件ばかりで物事を見てしまったりだとか。

ただ最近、最高人材責任者だったり、多くのCHROの方々がメディアに出るようになってきて、その重要性が問われるようになってきているので、少しずつ変わってきているのかな、という気がしています。

採用戦略は、事業戦略や研究開発戦略と同じくらい大切だったりするんですよね。そこにどうやってエースクラスを配置するかというのは、当たり前の考えで出てくると思います。そして、そこまでのキャリアパスを会社として設計し、憧れ、目指す人が増えてきたりすると、日本中の人事部門が盛り上がってくると思うので、また違う価値観が生まれてくるんじゃないのかなって。そういう変化の期待をしています。


■未来の注目領域と産業


――注目の産業やテクノロジーを教えてください。

私も大学時代に機械工学系でベアリングの研究などをしていて、昔からものづくり系って好きだし、関心の強い領域なんですよね。

日本のものづくりをもっと世界にPRしていきたいと考えた時に、ドローン技術は大きな可能性があると思っています。日本のものづくりの経験値とかが活かせそうな領域ですし、ビジネスとして飛躍させるには…というのは非常に興味があります。

エンターテイメントの領域でもドローンの活用は多様化されていますし、物流でも活用検証が進んでいます。これからどんな発展をしていくか非常に興味があり、私たちも関われることがあれば嬉しいですね。

法律の問題とか、国内では実験もやりづらかったりして難しいところもあるのは確かにそうなんですけど、ものづくりの日本としての力が活かせると思っています。

――最後に、みらいワークス様が考える日本の成長に必要なことはどんなこととお考えですか?

ドローンやVRをはじめ、先端技術の進化はすごく大事ですが、もっと大切だと思っていることは、日本の人材の流動化を促進させることだと考えています。

今、労働人口が6,800万人に対して、年間で転職する人が300万人しかいないっていうのは、先進国の中でもかなり低い数字です。流動化が低いってことは成長サイドの事業に人が流れないということなんですよね。これから日本を引っ張るようなビジネスが、業界が立ち上がっていったとしても、そこに必要な人材が出ていかないんですよね。

そして、これから企業が人材に対し、どういう考え方になっていなければならないかというと、今までは会社が人を選ぶというような考え方で採用とかしていましたが、これからは「どうやって選んでもらうか」です。

未来を創る人材が働きやすい環境もそうですし、ビジネスとして面白いことをやっているのかどうか、ワクワクするようなことをしていないと、優秀な人材って集まってこないと思います。

世の中の働き方に対する大きな変化を、ポジティブに捉えて自分たちの人材確保、人材育成をプラスに転じていけるような会社がこれから伸びていく会社になっていくはずですので、そういう風な会社が胸を張って伸びていけるような、そういう風な人材マーケットにしていきたいなと。

そんなマーケットに、みらいワークスがなんらかのかたちで寄与できている、寄与していけるような、会社になっていかなければならないなと思いますね。