2015.06.12 FRI astavisionが「太陽光発電・太陽電池・人工光合成」市場に関するコンテンツを公開
text by : | 編集部 |
---|---|
photo : | shutterstock.com |
astavisionが企業・特許情報のビッグデータ分析により、今後成長が見込まれる市場を180の分野に分類した「180の成長市場」。その14番目にあたる「太陽光発電・太陽電池・人工光合成」の市場ページが公開された。
米海洋大気局(NOAA)は、地球全域の大気中のCO2濃度の月平均値が2015年3月に観測史上初めて400ppmを超えたと発表した。 CO2に代表される温室効果ガス削減は、進行しつつある気候変動・環境異変の歯止めとして重要であり、その切り札が、太陽光発電などの再生可能エネルギーの普及だ。しかし太陽光発電には、バッテリーが高額なため、費用対効果の観点から蓄電が困難であるという弱点があった。
2015年4月30日、米国の電気自動車ベンチャー、テスラモーターズ社や宇宙開発ベンチャー、SpaceX社を率いるイーロン・マスク氏は、”THE MISSING PIECE”と題されたプレスミーティングで、安価な大容量リチウムイオンバッテリー(家庭用のPowerwall、業務用のPowerpack)を発表。電力会社だけではなく、家庭や中所規模の工場や事業所などに対しても、再エネ発電による電力備蓄の可能性を示した。
太陽光発電システムの中心となる太陽電池(太陽の光エネルギーを吸収して直接電気に変えるエネルギー変換素子)に関する技術に目を向けてみると、第一世代のシリコン結晶型がエネルギー変換効率25-30%程度、第二世代の薄膜型は15%程度であり、第二世代には窓や建材に用いられるシースルー型色素増感型太陽電池や、形状がフレキシブルでウェアラブルな太陽電池、さらに「塗る」太陽電池や、繊維形状の「編む」有機太陽電池など、斬新な発想も見られる。
実用化にはまだ時間がかかるものの、第三世代として、効率60%以上を狙える量子ドット型やヘテロ多接合型(HIT)、さらに効率80%以上(理論効率100%)が期待される第四世代の強相関電子系、プラズモニクス(プラズモン共鳴系)、波長変換型の研究も始まっている。
太陽光からのエネルギー転換という意味では、日本が世界のトップを走る人工光合成の研究も見逃せない。人工光合成とは、植物による光合成を模し、半導体や金属錯体を用いて、太陽光と水と二酸化炭素から有機化合物などを作るというものだ。2011年、豊田中央研究所が世界で初めて、酸化チタン電極と金属錯体電極による人工光合成で、ギ酸を合成することに成功した。すでに、首都大学東京・井上晴夫教授が発見した1光子2電子酸化反応により、エポキシ化合物などの生成に成功しており、今後、アルコールのような石油代替燃料の生成も射程に入ってきた。
また、地球の静止軌道上に浮かぶ太陽光発電設備、宇宙太陽光発電(SSPS : Space Solar Power System)も、日本国政府による『宇宙基本計画』に明記されるなど、注目の技術として挙げることができる。
astavisionでは「太陽光発電・太陽電池・人工光合成」市場の2025年時点でのグローバル市場規模を年間1000億ドル≒12兆円と推定している。
この記事に関連するページはこちら
-
Column2015.04.22 WED 「人工光合成」という科学者の夢を実現した産総研太陽光を利用して水から水素を取り出す「人工光合成」技術がいま、日本発の次世代再生可能エネルギー技術と…
-
News2015.07.27 MON 「ロケット・宇宙航行システム」市場とは?豊富な資金力を背景に宇宙開発技術者を集めたベンチャー企業等は近年、衛星の打ち上げや国際宇宙ステーショ…
-
News2015.08.18 TUE NHKが「太陽光発電・太陽電池・人工光合成」市場に参入。その技術とは?あのNHKが「太陽光発電・太陽電池・人工光合成」市場に参入していることをご存知だろうか。
-
Report2015.10.21 WED IDEC、ナイルワークス、東京理科大学のイノベーターたちが注目する市場・企業・人物とは?~…「次世代農業EXPO」に出展している企業や大学で、異分野から農業に参入したイノベーターたちが、どのよ…