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3Dプリンタと素材の「ちょい足し」で人体モデルのリアルな触感を実現

text by : 編集部
photo   : shutterstock.com

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(※)この記事は2013年10月21日にastamuse「技術コラム」に掲載された内容を再構成したものです。

2012年に米国でベストセラーとなったChris Anderson著の『MAKERS』をきっかけに、3Dプリンタ、正しくは積層造形(AM:Additive Manufacturing)技術は、 個人がデスクトップで「一人モノづくり」に取り組めるという産業革命以来の価値の転換をもたらし、今や家電からアートまで、分野を超えて創造の波が広がっている。しかし、多くの3D造形では形状の再現に重点が置かれており、造形物本来の質感や触感(硬い・柔らかい・弾力ある・湿った・冷たいなど)を提示することに焦点を絞ったものは少ない。

今回紹介するのは、3Dプリンタの医学応用の例で、X線CTやMRI、PETなどの医用診断装置から得られた医用画像の3次元デジタルデータから、材質の異なる複数素材を用いて、人体組織の部位特異的な触感を伴ったリアルな3次元生体モデルを作製するというものだ。

難度の高い手術をするに当たり、予め患者の人体組織の精巧なモデルを使ったシミュレーションができれば、より安全な手術計画の立案や処置を施すことが可能となる。隠れた部位の変異を事前に知ることも可能だ。また、患者本人の臓器をリアルに提示することで、インフォームドコンセントにも役立つと思われる。

このように、3Dプリンタによる人体モデルの作成は、極めて有意義な取り組みといえる。 本技術に用いる3Dプリンタとしては、アクリル系光硬化樹脂を使用したインクジェット紫外線硬化方式のものや、ABS樹脂を使用した熱溶解積層方式のもの、パウダーを使用した粉末固着方式のものなどがあるが、これらに限らず、複数の素材を用いて3D造形が可能なものであればよい。

一方、素材は、硬性樹脂や柔軟性樹脂などのほか、石膏粉末、プラスチック粉末、金属粉末、ワックスなど、生体組織の部位の特性に応じて、色、光透過性、高軟質性、X線透過性、超音波の感受性、導電性などのパラメータを制御できる多種多様の素材から選択する。 異なる素材を一定の比率で混合することも有効だ。さらに、3D造形した構造内部に、後から液体やゲル、粘土などの固形物を導入して、よりリアルな触感を与えてもよい。

3Dプリンタだけで完結するのでなく、後から別の素材を加えてもよいという自由な発想が、生体組織のよりリアルな質感・触感の再現に大きく貢献しているようだ。

 

人体モデル

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