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「フレキシブルデバイス・有機エレクトロニクス」市場とは?

text by : 編集部
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astavisionが企業・特許情報のビッグデータ分析により、今後成長が見込まれる市場を分類した「2025年の成長市場」。近日公開予定の「フレキシブルデバイス・有機エレクトロニクス」市場コンテンツについて、その一部をプレビューする。


 

有機エレクトロニクスとは、有機EL(エレクトロルミネセンス)、有機太陽電池、有機トランジスタなど、有機半導体をベースとしたエレクトロニクス全般を指す。薄くて柔らかく曲げたり巻いたりできる製品が作れるので、フレキシブルエレクトロニクスともいわれる。また、その製品は、フレキシブルデバイスとも呼ばれる。

有機薄膜トランジスタの例として、東京大学大学院工学系研究科の染谷隆夫教授らが開発した世界最軽量(3 g/m2)かつ最薄(2マイクロメートル)のスーパーフレキシブル電子回路がある。陽極酸化を用いた独自の室温プロセスにて、表面が粗い高分子フィルムに、厚さ19ナノメートルという極薄の絶縁膜(アルミニウム酸化膜)を高均質かつ基材への密着性高く形成する。腕や身体に巻きつけることも可能なので、装着感のないヘルスケアセンサやストレスフリーの福祉用入力装置、医療電子機器用センサ、衝撃に強いスポーツ用センサなど多方面への応用が期待される。

東大染谷研究室による有機薄膜トランジスタ

東大染谷研究室による有機薄膜トランジスタ

 

また、UC San DiegoのTodd Coleman教授が開発した皮膚に直接貼れる電子タトゥは、脳インプラントに替り、非侵襲的に脳神経信号(EEG)を計測するフレキシブル電子回路で、弾性のあるポリエステル素材の中に電子回路がプリントされている。皮膚に装着した状態で様々な生体情報を収集することができる。回路内にECG(心電)、EMG(筋電)、EEG(脳電)センサとマイクロソーラーセル、ワイヤレスアンテナを搭載、ワイヤレス機能を使って生体データを取得できる。

また、京セラは、ファインセラミックスの圧電効果(piezoelectric effect:圧力を加えると圧力に比例した電圧が生じたり、逆に電界を与えると変形する)を応用したピエゾ素子(圧電素子)と、樹脂フィルムの組み合わせによって誕生した世界最薄1mmのフィルム状のスピーカを開発している。ピエゾ素子の振動を樹脂フィルムが増幅し、音を形成する。 従来の磁石とコイルの反発により音を作る電磁式スピーカーの20~30分の1という大幅な薄型化に成功、LG Electronics,Inc.製の55型曲面型有機ELテレビの音響デバイスとして採用されているほか、PCやタブレット端末のほか、車載用まで幅広い分野での展開を図るという。

住友理工は、表側・裏側2層のエラストマ―(シリコーンゴムなど)のシートの間にウレタンなど発泡性ポリマーの誘電層を挟んだ3層構造からなるセンサシートを開発。このセンサシートの上に人が立つなどして荷重が加わると、その部分の誘電層の厚さが小さくなり、表側電極と裏側電極との間の静電容量が大きくなる。この静電容量の変化により、シート上にかかる荷重や圧力の分布(面圧分布)を検出することができるため、静電容量型センサと呼ばれる。面圧分布はヒートマップなどでリアルタイムに可視化することができる。ベッド用の体圧分布センサとして用いた場合、面圧分布の変動から、寝返りや体動、離床や転落などの睡眠中の生体情報を得ることができる。 また、ゴムシートの上を歩行することで、運動状態や健康状態を解析することができるなど、ゲームやスポーツ、介護・リハビリ現場まで、幅広い応用可能性がある。

コニカミノルタのフレキシブル有機EL照明は、曲率半径10mm、しなやかに曲がる面全体が均一に発光する。非常に薄い有機物の層を重ねた構成で、有機層の厚さは数百ナノメートル、パネルとしての厚さは、プラスチック基板の0.35mmとほぼ同等で、従来のガラスパネルの約1/5程度。

前出、東大の染谷教授らは、銀や界面活性剤を含む特殊なインクをインクジェットプリンタで、伸縮性のある布地に印刷することで、複雑な電気回路を形成できる技術を開発、筋肉の活動を測れる筋電センサを作製。同センサを腕に装着し、手を握る動作と開く動作の筋電位を計測できることを確認した。

 

このように、有機エレクトロニクスには様々な形態のものがあり、応用分野も広く、今後ますます発展する分野と考えられる。


 

近日公開予定の「フレキシブルデバイス・有機エレクトロニクス」市場コンテンツでは、この市場のグローバル市場規模、用途展開、活躍できる職種などを紹介する。

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